堀口です。
「若者よりも、大人の方が犯罪を犯している」って知っていましたか?
私も調べていてびっくりしました。
まさかのデータでした。
明らかに、少年の犯罪が減少し、高齢者を含む大人の犯罪割合が増えています。
データで示してみましょう。こちらをご覧ください。(引用させていただいた参考URLは最後に記載します。)
検挙人員の年齢層別構成比の推移
いきなり結果がわかります。
犯罪と言えば、「若者」。これは平成9年(1997年くらい)からすればこれは大胆に言えば、そうであると思います。刑法犯の半分は20歳以下でした。
ちなみに、24年ほど前になります。
今は、65歳以上の犯罪は20.8%。20歳未満は14.1%で、20歳未満の犯罪率の全体の割合は1/3以下に減少し、逆に65歳以上の犯罪率は5倍以上(平成9年は4.1%)になりました。
これはまさに驚くべきことで、なぜなら、犯罪のイメージも若い人から、大人へと多くの方はシフトしているのではないでしょうか。
他の年齢層では、わずかにその割合はそれぞれ増加傾向ではあるもののそれほど目立った変化はないように見えます。
確かにこの時代の若者はものすごく荒れていた印象で、私自身は当時中学生で、普通の公立中学校に通っていましたが、中2,中3の先輩が目の前で窓ガラスを割りながら廊下を歩いていた姿を見たときはまさに衝撃でした(笑)それに対して先生も軽く口頭で注意するだけで手に負えないという印象で、先輩たちに対してものすごい恐怖を抱いていたのを感じています。
もちろん、少子高齢化で「高齢者は増えていて若者は減っているからでは?」という意見もありますが、それも要素としてはありますが、全くそれだけでは説明できません。
日本人口年齢層別割合の推移
こちらの日本人の人口の年齢層別割合をご覧ください。
0~20歳 23% ⇒ 17%
わずか6%ポイントの減少に過ぎません。割合の割合変化も26%程度の減少で、1/3以下になった犯罪率を説明できていません。
そして、
65歳以上 14% ⇒ 28%
の変化へとなります。つまり、65歳以上の人口が2倍以上になっているので、犯罪の割合も2倍になっていておかしくはないものの、5倍になっていることは説明できません。
このデータだけ見てみれば、注意すべきは若者ではなく高齢者!!と言えることもできるのではないでしょうか。
しかし、単位人口あたり(人口1%あたり)の犯罪率を計算してみると、
0~20歳 0.83
65歳以上 0.74
となり、やはり若者の方が犯罪を若干犯しやすいという結論が見えてきます。必ず高齢者の方が危険というわけではないようです。(※また、0~20歳の若者の人口と考えていますが、明らかに10歳以下の犯罪率は低いことが予想されるので、11歳以上が犯罪を犯す可能性があると考えればグッと割合は若者の方が増えてきます。)
次にこのグラフをご覧ください。
少年による刑法犯等検挙人員・人口比の推移
こちらのグラフを見ると恐ろしいことがわかります。
見て頂きたいのは「成人人口比」と「少年人口比」の折れ線グラフです。
「少年人口比」とは、10歳以上の少年10万人当たりの、「成人人口比」は、成人10万人あたりの、それぞれ刑法犯・危険運転致死傷・過失運転致死傷等の検挙人員です。
これが、平成25年くらいを境に逆転してしまっているのです。
つまり、単位人口あたりで見てみれば、少年よりも成人の方が犯罪を犯しやすいということです。
しかし、このグラフを見ればもう少し様子は変わってきます。
刑法犯のみに限定したグラフです。先ほどは、危険運転等も含めたグラフでしたが、単純に刑法のみを限定で考えてみれば、やはり当たり前ですが、少年の方が犯罪を犯しているという結論が見えてきます。
※刑法犯:凶悪犯、粗暴犯、窃盗犯、知能犯、風俗犯、その他の刑法犯のこと。 刑法犯全体から交通関係業過 (交通事故によって人を死傷させた過失犯) を除いたものを一般刑法犯といい、刑法犯以外の犯罪を特別法犯といいます。(引用:セコム防犯・防災用語集)
大人が見習うべきは少年たちなのかもしれない
長く人生を生きているからこそ、よりよい学びを得ながら、人に迷惑をかけない生き方を心掛けて年を重ねていくという考え方もありますが、思ったよりも若者よりも大人の方が犯罪率が減っていないというのは実に悲しむべきことのように感じています。ここ24年で人口が増えたとは言え、5倍も犯罪の割合が増えてしまったという65歳以上の方々もそうです。
もちろん、犯罪を犯すというのは、犯罪を犯さなければいけない理由がある。今の社会全体に大きな問題がありそれが表面化してきているから犯罪が増えている・・とも考えることができますが、単純に犯罪が増えるというのは悲しいことです。
危険運転もすべて含めれば大人の方が犯罪を平均的に犯してしまうのです。
大人になるにあたってたくさんのことを学んできているはずの大人が犯罪を犯してしまうのです。
大人が見習うべきは、実は「少年」なのかもしれません。
生まれながらにしてICT機器に囲まれて育つ若者は、たくさんの情報に囲まれて、「やっていいこと、やってはいけないこと」をリアルに感じている。素直に育ってきているからこそ、犯罪率が減っているというのも一つの理由なのかもしれません。いずれにせよ、犯罪という観点から見てみれば、大人が見習うべき人たちは、少年たちです。
引用:平成29年版 犯罪白書
<文/堀口智之>