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数学の「名著」だから読みやすいとは限らない

大学時代の話をしましょう。

大学に入って、まず「名著」と呼ばれる本をまず買いました。

大学の数学では、高木貞治「解析概論」です。大学で専門的に数学を学ぶ人であれば誰もが認める名著です。

あの白髭有名数学者である秋山仁先生も大学時代に夢中になって読んだ本といわれています。こちらの写真は最新で、緑色のバージョンを大学時代には読んでました。

しかし、私はの読んで最初の感想が、「難しい。」

最初は読めました。面白い。しかし、途中から段々と難しくなってくる。いくらか行を飛ばして読むとすぐにわからなくなる。(飛ばして読むのが悪いのですが。)

しかも、旧字体で書いてあり、読みにくい。本もでかい。持ち運びづらい。(今は改善されているのかな?)これは皆が入り口として学ぶ、読む本として適切なのかな?と疑問に思ってしまいました。

そして物理学の名著では、ランダウ・リフシッツ「場の古典論」です。これも名著です。一部界隈では、「バコテン」とも言われています。

これは早々にノックダウンしました・・・。1、2行読むのに、30分かかることもありました。もちろん読めたところもあります。読めたところでは最初の数ページでものすごい感動が押し寄せてきました。場の考え方、時間と空間の新たな定義、その方法に驚愕し、感銘を受けました。しかし、大学時代の友人は誰も読んでおらず、(いや友人はあまりいなかった気がするのは内緒ですが(笑))一人で部屋で興奮しながら読んでました。

内容のすばらしさは大いに感じましたが、その難易度の高さ、突然ものすごい数式が飛ぶという、行間が全く埋められていないということに驚き、たった1行で数式の変形がものすごい飛ぶ光景に早々に挫折したのも事実です。

 

私は、おそらく数学においてはほんの少しだけ物分かりはいい方ではあるので(教育課程において、数学だけ成績はよかった。)、その私が読みにくいということは、おそらく皆も読みにくいんだろうな、と。

つまり、書評で、”わかりやすい”なんて書いている人は、どうかしているんじゃないかと(笑)。既にものすごい知識のある人、頭が桁違いによい人ではないかと思っています。少なくとも私にはその名著を読みこなす力はありませんでした。

ここから学んだのは、名著は、初心者向けではないということです。

もちろん、私の力不足と言えば、そうだと思います。しかし、多くの人にとって共感できるのではないでしょうか。

これは書評に限りません。Q&Aがたくさん掲載されているWEBでの「ベストアンサー」でも同じことが起こります。読んでもさっぱりわからない解説はたくさんあるのです。

誰かにとっての「よい」、「価値があると評価されているものは、全員にとって決して「よい」ものではない。これはほぼすべてに言えることです。それが本にも当てはまっただけ。その前提を抑えながら、数学と向き合っていくことが大切です。

大きく知識を得たあとに、名著を読み直せば味わい深い何かをきっと感じるはずです。

名著は、初心者向けだから、あるいは、わかりやすいから、買うのではない。ということを念頭に置いておくとよいかと思います。

<文/堀口智之>