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算数に”学ぶ目的”は必要か?

先日イベントで出てきた面白いテーマがありました。それは、

「算数に学ぶ目的は必要か?」

です。

大人からたくさんのコメントを頂きました。「子どものときに、算数を学ぶ目的や理由を知りたかった。」と。

面白かったのは、「この質問が出てきた時点でそもそも算数を愉しんでいない。」という返答があったことです。算数自体ができて、点数も取れて楽しかったのであれば、目的なんてどうでもよいですからね。

「そもそも将来の●●に役立つから、という理由で子どもがものすごい算数のやる気が溢れるかと言われれば疑問ですね。」という前田先生(コラボイベントでご一緒にした先生)の話にさらに納得しました。

たしかに、子どもは未来を生きるのではなく、今を生きています。いくら将来のためといえ、今のモチベーションにはつながりにくいことは、大人だってそうだと思います。老後楽になるからといって、20代から老後のためにずっと働き続けられる人はごく一部です。もっとすぐ目の前のこと、「与えられた仕事をどうやってこなすか。」「どう同期とコミュニケーションを取るか?」とか。未来といえばせいぜい「30代のキャリアをどうするか?」くらいではないでしょうか。

ほとんど見えないくらい遠い未来のことはイメージできません。子どもが大人になるときも一緒だと思います。

10年先のために、今、ひたすら1桁の足し算をして!と言われたら、「なぜやらなくてはいけないのか?」と疑問になってしまいますよね。

ドラクエなどのRPGでも、何のためにレベル上げをするのかと言えば、ドラクエを楽しんでやっている人はレベル上げに疑問を抱かないですし、目的も求めることはないでしょう。むしろ、「ボスを倒すため。」という目的を聞いたところで、ボスを倒すモチベーションは高まらない方もきっと多いように思います。

 

大人は目的をそれでも知りたい

しかし、大人が算数を学び直すときには、何のために学ぶのかという目的は非常に重要だと思っています。その目的が身近なものだからです。

「銀行残高が給料日のたびに増える」「掛け算は感染者数に関わっている。」とか、「当期純利益の一部がメンバーで割り算されてボーナス金額が計算される。」とか。四則演算が日常に溢れているように、他の数学的な概念も社会に溢れており、すごくイメージが湧きやすいのです。

この社会をよりよく生き抜く上でさまざまな知恵を使いこなしており、それを合理的に説明するための算数と考えてみると、算数へのモチベーションは高まるはず。子供よりもずっとハードな弱肉強食の世界を生きているからこそ、見える世界だと思います。

※先日開催したイベントはこちら(引用:[オンライン]小学校の現役教師&大人の数トレ教室代表による「これからの算数教育」

<文/堀口智之>