「なんとなく高い気がする」という感覚を、数字を使って相手に説得力を持って伝える方法があります。割合・比較・1単位あたりの計算という3つの視点を使うと、感覚を「データ」に変えることができます。
「なんとなく」では人は動かない
「この見積もり、なんか高くないですか?」
会議でそう感じても、根拠がなければ言い出せない。言えたとしても「なんとなく高い気がします」では、誰も動いてくれない。
数トレ教室を受講している中村さん(仮名・30代・購買担当)は、以前こんな状況で困っていました。
「業者から来た見積もりが高い気がするんだけど、数字が苦手で、どう反論すればいいかわからなくて。結局そのまま通ってしまったんですよ」
「なんとなく」を「数字」に変える力は、仕事で使う数字力の中でも特に重要です。今回は、その具体的な方法を3つお伝えします。
方法①:「1単位あたり」に分解する
見積書に「システム導入費用:500万円」とあったとします。高い?安い?単体ではわかりません。
そこで「1単位あたり」に分解してみましょう。
- 社員100人で使うなら → 1人あたり5万円
- 5年間使うなら → 年間100万円、月約8.3万円
- 月8.3万円 ÷ 100人 = 1人・月あたり約830円
「月830円のサービスとして考えると、ランチ代より安い」——と見えてくれば「意外と安い」、逆に「月830円でこの機能しか使えないの?」と見えれば「やっぱり高い」と論拠が生まれます。
感覚を分解する式:総額 ÷ 人数 ÷ 期間 = 1人・1日(または1月)あたりの金額
方法②:「相場と比べる」
「なんとなく高い」を「相場より○%高い」に変えるのが、最も説得力のある方法です。
先ほどの中村さんの例で考えてみます。他の業者の見積もりが350万円だったとすると:
(500万円 − 350万円)÷ 350万円 = 約43%割高
「なんとなく高い」が「相場の1.43倍」という数字に変わりました。これなら会議で「他社見積もりと比べると43%高くなっています。理由を確認させてください」と言えます。
比較対象がない場合は、過去の同種の発注金額・業界平均・ネットで調べられる参考価格でも構いません。「何かと比べる」ことで感覚が数字に変わります。
方法③:「何が含まれているか」を数字で確認する
「なんとなく高い」の原因が、実は「何が含まれているか分からない」だったというケースも多いです。
例えば研修費用100万円の見積もりが来たとします。内訳を見ると:
- 講師費用:50万円
- 教材費:20万円
- 会場費:20万円
- 事務手数料:10万円
「100万円全部が講師料」だと思っていた人が、この分解を見ると「あ、そういうことか」と納得することがあります。逆に、事務手数料が高すぎると思えば交渉の糸口になります。
「高い・安い」の判断は、内訳を出して初めてできる。感覚でなく、構成要素で見る習慣をつけましょう。
数トレ教室でよく見るつまずき:「比べる基準がない」問題
数字が苦手な方がよく言う言葉に「そもそも高いのか安いのか、判断できない」があります。
これは「比べる基準を持っていない」ことが原因です。
比べる基準は、次のどれかから持ってくればOKです:
- 過去の実績(前回はいくらだったか)
- 他社見積もり・相見積もり
- 業界の相場(ネットや知人から)
- 自分の「時給換算」「日給換算」との比較
- 有名なものとの比較(「Aサービスの年間費用と同じ」)
最初から完璧な基準でなくていいです。「なんとなくの基準」から数字にしていくことで、だんだん精度が上がります。
今日からできる一歩:日常の「高い・安い」を数字で言い換える練習
コンビニで「これ高い」と思ったとき、なぜ高いと感じたか数字で言ってみましょう。
- 「コーヒー300円 → スーパーで買えば1杯30円。10倍の価格」
- 「ランチ1,500円 → 月20日行くと3万円。家賃の○%に相当する」
- 「月額サービス2,000円 → 年間2.4万円。使わなかった月が3ヶ月あれば割高」
日常のこの練習が、仕事の場面で「なんとなく」を「数字」に変える力につながります。
よくある質問(FAQ)
Q. 数字が苦手でも、この方法は使えますか?
A. 使えます。難しい計算は必要ありません。割り算と引き算ができれば十分です。むしろ数字が苦手な方こそ、「ざっくり計算でいい」という感覚を身につけると一気に使いやすくなります。
Q. 相場がわからない場合はどうすればいいですか?
A. 相場は「完璧に知る必要はない」です。ざっくりでいい。ネット検索・同業者への聞き込み・過去の自社発注履歴などを「参考値」として使うだけでも、感覚を数字に変える効果があります。
Q. 上司や取引先に「高い」と言いにくい場合は?
A. 「高い」と言うより「他社と比べると○%差があります。この差はどこから来ていますか?」と聞くと、角が立ちません。感情でなく数字で問いかけると、相手も論理的に答えやすくなります。
Q. この方法を商品の値付けにも使えますか?
A. もちろんです。自分が売る側の場合も、「1単位あたりいくら」「競合と比べて何%の差」「何が含まれているか」を整理すると、価格の根拠を説明しやすくなります。
まとめ:感覚を数字に変える3つの方法
「なんとなく高そう」を「数字で証明できる高さ」に変える方法、まとめます。
- 1単位あたりに分解する(1人・1日あたりいくら?)
- 相場と比べる(他社・過去・平均と何%違う?)
- 内訳を確認する(何にいくらかかっているか?)
感覚を数字に変えると、会議で発言できるようになります。交渉の根拠が持てます。判断に自信が持てます。
「なんとなく」を卒業するのは、特別な才能がなくてもできます。視点とやり方を知っているかどうかの差です。
▶ 数字の使い方をもっと学びたい方は、大人の数トレ教室の無料相談をご活用ください。
▶ ブログ一覧で関連記事もあわせてご覧ください。

