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算数”なのに”難しく感じてしまう理由

なぜ算数を難しく感じてしまうのか。いや、算数”なのに”難しく感じるのか。

算数の要素の一つである「計算」。その計算が簡単に感じることができたら、きっと算数は大きく前進することでしょう。しかし、どうやったら計算が簡単に感じることができるのでしょうか。

ここで言っているのは、計算ができるかどうか、ではありません。計算が簡単に”感じる”かどうか。です。この感じるかどうか、というのは非常に重要です。

難しく感じるというのは、”しっくりきていない”ということに通じるものがあるからです。自分の身体と同化していない、ということを感じているからです。

つまり、「計算を簡単に感じる」ことは、自分の習慣のごく自然な行為と結びついているかどうかということになってきます。計算と習慣を結びつけるのは、”簡単に思える”ことの重要なファクターです。

 

「計算を簡単に思える」を具体例で説明する

具体的に解説していきます。3個のリンゴから2個のりんごを取ることは自然な行為に思えるけれども、2個のりんごから3個のりんごを取ることは自然な行為に思えないということです。

まず、2個のりんごから3個のりんごを取ろうとすること自体、納得ができません。2個のリンゴから3個のリンゴが取れないからです(笑)1個分はどうしたらよいの?となるでしょう。

小数の計算が難しく感じる理由もここにあります。2.4個のりんごが存在しないからです。そこから、1.7個のリンゴは取ることできないですし(笑)

もちろん、これは、プラスを東へ何歩行って、マイナスを西へ何歩いく。と表現するように、プラスマイナスという概念を数直線に変えてしまえば、問題はないと思います。しかし、それでも、2.4歩はありえないのです。2.4mだったらありえるけれども。

つまり、ありえるものがどんどん狭まっていく。日常から想像しにくい。それが計算が、そして算数をも難しく感じてしまう理由です。

どのように算数を克服しているか

この「計算を簡単に思える」ようにするために、我々の教育、カリキュラムは、”仕組み”できちんと習得できるように工夫されています。例えば、筆算はまさしくその代表格。筆算の意味がわからなくても、計算自体は全く問題なく行うことができます。むしろ、支障が全くありません。

しかし、その意味がわからないですし、大人になって筆算を習慣化している人は一人もいないでしょう。代替手段として電卓やExcelなど計算ツールで行えれば、筆算よりもずっと早く正確に計算できるからです。

そして、筆算の出来は、点数が取れるかどうかだけで判断されることもあるでしょう。だから、難しく感じているということを無視して、点数が取れているから問題がない、としてしまう方向です。

これは、一種よりよい算数教育を考えてきた中で出てきた弊害だと思います。我々誰もが理解できるように、きちんと体系的な筆算の仕組みを作ったからこそ、何のために筆算を覚えたのかが忘れ去られてしまっているように感じています。

簡単に思えるようにするために、”わかる”から、”解ける”。それだけではありません。その学びを日常化、習慣化にしていくことが大切です。より多くの大人が算数を難しく感じることから脱却できるように、様々な角度から引き続きサポートしていきたいと思います。

<文/堀口智之>