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社長室のコーヒーメーカーは無駄コストか【経費削減のポイント】

どうやって経費削減するかを話し合った結果

とある赤字の会社でこんな話がありました。

「何が赤字を解消させるために話し合った結果、社長室にあるコーヒーメーカーのコーヒーカプセルが1個100円するので、その代金を節約したほうがよい。」

という意見が出たそうです。

経費削減の観点からは確かに、出ていくお金をゼロにするのは正しい考え方なのですが、しかし、せいぜい月に5000円~1万円程度でしょう。これは本当に削減する意味があるのでしょうか?(おそらく社長室にある、ということですから、それなりに大きな会社の話でしょう。)

たった月に1万円を節約する行動にどのくらいの価値があるのか、具体的に計算で求めることが大切です。1万円を本当に意味があるのかを考えることが大切です。

 

そもそも人件費はどのくらいかかっているか

現実的な話、給料300万円の人は、人件費3割の会社であれば、存在するだけで平均しても年間1000万円の価値を生み出す必要があります。生み出さなければ赤字になってしまいますから。つまり、勤務日数ざっくり250日と考えれば、1日4万円です。

この1人あたりのインパクト1000万円がもし1%でも増える施策を行ったならどうでしょう。なんと、10万円も売上が増えます。人件費の割合3割を差し引いても7万円もの(限界)利益につながります。

長期的にたった1%でも年間の売上を上げる施策を行ったなら、簡単にコーヒー代分くらいの利益が出てしまうのです。

つまり、コーヒー代に注目するのではなく、もっと大きなものに目を向けなければいけないのでは?という視点です。

赤字の会社ですべきは2つ。プラスを増やすこと。マイナスを減らすこと、です。

長期的に続いている会社で、創業以来全部赤字だった会社は一つもありません。必ずうまくいっていた時期があったのです。しかし、突然マイナスになった。つまり、これまでで何が成果をもたらしているのか。そのエンジンのカギは誰が、何が、握っているのかをきちんと考えるのです。

 

コーヒーを無くなった未来を想像する

またこんなシチュエーションも想定できます。その経費を削減した分、その社長が自腹でコーヒーを飲むようになったのであれば本末転倒です。むしろ、そのコーヒーを買いに行く時間的、金銭的コストが別途発生していきます。

いやいや、秘書に買いに行かせればいい。なんて意見もあるかもしれませんが、仮にその秘書の給料年間500万の人は1日2万円(250日勤務だとして)かかってくるので、1時間あたり2500円(8時間勤務として)、15分あたり、625円ものお金がかかっています。買いにいくコストを計算すれば、明らかに社長室にコーヒーメーカーがあって、気軽に飲める状況を作ったほうがいわけです。

つまり、マイナスをゼロにしようとするのは簡単ではあります。しかし、想像力を膨らませて、本当にそれを変えるに値する価値があるものなのか。そして、変えたときに本当にコストは削減につながっているのかどうか・・・まで考えてみていくのがよいでしょう。

 

ふと、経営者の友人とそんな会話をした記憶がこみ上げて記事にしてしましました。でも、笑い話でもなんでもなく、こういう些細なことであっても、数字が求められるシチュエーションでの思考法は重要だと思うのです。まさに、データセンスが必要な話でした。

※もちろん、改善する意欲があるという意味では、非常によいことだとは思います。一応気にされる方もいるかもしれないので、書いておくと、コーヒーメーカーではなく、粉コーヒーにすればよいとかそういう細かい話ではなく、提案のレベルを高める必要があるということです。

<文/堀口智之>