大人の方で、算数の学び直しや掛け算の基礎、筆算のやり方や、分数などから学び直そうと思っている方がこの数トレ教室に通っているのですが、10年大人の方を対象に数字から、算数から教えていって気づいたことがありました。
それは、「分数」という分野でいらない項目があるのです。
巷にある「大人向け算数やり直し」系の書籍やテキスト、ドリルなどには書かれていないことです。なぜなら、著者の方はおそらく大人の方に直接教えていないでしょう。(一部はおそらく教えていると思います。でも、それほど人数が多くありません。)
大人の算数学び直しには目的がある
というのは、大人向けの数学教室を初めて算数を教え始めたときに、多くのギャップを感じ、多くの学びを得ました。
・社会人であるのに算数からできていない人が多いこと
・計算はできるけど分数の意味が分かっていない
・九九は覚えてはいるけど、逆にしないと覚えていない人(6×7は覚えているけど、7×6が言えない・・・など。)
そして、大人の算数学び直しで最も私が学んだのは、社会人が算数を学ぶ目的についてです。特に必要とされるのは、数字の適切なアウトプット、つまり、コミュニケーションをとることやグラフの読み解き、分析などの応用に興味があるのです。活用するために学ぶ。だからこそ、必要な分野のみを学べばより効率的に学ぶことができるのです。
分数の中で最もいらない計算とは
具体例を一つ提示しましょう。
特に、算数という分野の中で、「分数」は最も躓きやすい分野の一つです。「苦手」意識を持つ方が多く、分数でわからなくなってしまったからこそ、そのあとの中学校の方程式や関数などで挫折してしまった・・・という方も少なくありません。
苦手意識を持つからこそ、端的に、より短く学びたいのは当然です。
では、一つ分数の学習を短く終えるときに、「ここだけは無視してよい」という分野があります。実は、「分数の足し算」です。分数の足し算は、算数を学び直すときにそのまま教えることはありますが、実際のところほとんど活用の幅は狭いと思います。通分するために、分数の考え方を理解していくために必要なのであって、現実的に、社会人として生きていくのに、それほど分数の足し算は使いません。
分数の足し算をしなければいけないような場面では、現実ではおよそ小数に直してしまうから、というのがその理由です。もちろん、分数の通分などでは方程式を解くときに活用できますが、分数そのもので足し算することはほとんどないのです。
分数の掛け算はどうか
逆に、分数の掛け算や割り算は実は応用の幅が非常に広いです。例えば簡単な計算ですが、
「お客様のうち、1/3がAという商品を購入し、リピート購入する人がさらにその1/2となれば、全体の1/6が購入している」
・・・ことが、分数の掛け算からわかりますよね。分数の掛け算として活用する場合は、小数に直すよりも分数のまま計算したほうがよい場合は多くあります。
もちろん、「算数のすべてを学び直します!」という方はそれでもちろんいいと思います。しかし、大人はみんな忙しいのです。途中で緊急性のある仕事など入ってきたらそこで集中力が途切れてしまうこともあります。だからこそ、大人に必要な分野のみ、算数の学び直しや分数の学び直しをしてほしいと思っています。
<文/堀口智之>