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大人向け算数教室の講師の資質とは

当たり前のように聞こえるかもしれませんが、大人のための算数を教える講師として、どんな人でも受け入れられる価値観を持っていることは大切です。これは、指導法ではありません。それ以前の話です。講師によっては好き嫌いはあるものですが、私自身どんな方でも好き嫌いはほぼなく、過去に教えてきました。

元から数学のセンスがある方、算数からができない方、九九さえ覚えていない方、テクニックだけ学んで試験に合格するためだけに学びたい方、数学の社会的価値を知りたい方、数学がどんな職業に使われているのかを知りたい方、など。

ちゃんと教えたことのある生徒で、一番年齢の低いのは小学校3年生。一番高齢なのは、おそらく80代の方でしょうか。個別指導なら60代の方まで指導したことがあります。

なぜ、こういうことをお話するかと言えば、意外と数学講師にありがちなのは、「〇〇じゃないと教えたくない。」という願望があることです。

例えば、「まじめに勉強しない人は嫌だ。」とか「頭の悪い人は教えたくない。」とか。「定義が明確ではない数学は教えたくない。」そういうことを露骨に言う講師も少なくありません。(こういう講師がダメだと言っているわけではありません。)

人は、様々な価値観を持っていますし、それぞれ習得のスピードは全く違います。1しか話してないのでなぜか、10理解してしまう人もいますし、100話しているのに、なぜか0の方もいます。10習得したと思っても、翌週には0になっていることもあります。本当に人それぞれです。

 

「できるだけその人に合わせて授業を行うこと。」

シンプルなテーマですが、実は、意外と難しいのです。その人の価値観をほぼほぼ受け入れたうえで授業できるかどうか。数学(希望)講師と最低でも4,500名くらいは会ってきていますが、決して多くない印象です。10%いるかどうか・・・。つまり、10人中1人なイメージです。

私自身としても「100%実行できているか」と言えばまだまだでしょう・・・。可能な限り価値観を尊重したうえで、その人に必要な言葉を投げかけられるように意識して常に生きています。

私が教えるときのコンセプトは、「楽しい!」がまず前提です。だからこそ、できる限りその人の価値観は受け入れるようにしています。しかし、これは良い・悪いの問題ではないと思います。

「厳しく教えたほうがオリンピック選手は育ちやすい!」というコーチはいますし、「弱みを無くすように教える!」「強みだけを活かすように学ばせる!」監督もいると思います。何が目的で学ぶかにもよります。

しかし、大人の算数から学べるような、数字のトレーニングを行う弊教室では、ただでさえ、算数や数学が苦手で嫌な思い出がある。コンプレックスのような、強い嫌悪感を持っている人はいますので、そういった記憶にはつなげたくない。という想いがあります。

だから、できるだけやさしく。まずは楽しむ。学びたくないときは無理しない。ということが大切で、ゆっくりと、まったりとまずは向き合うということです。

いきなり、大嫌いな友人と再会すれば、身体が硬直し、変な汗が流れ、口も手も頭もすべて思うように動かなくなってしまうでしょう。それときっと同じです。まずは、何もしなくても隣にいるだけで十分。学びたい人は学んでもよいけど、何もしなくてもよい。

「・・・でも、思わず学びたくなってしまう。」

そんな授業・セミナーをいつも目指しています。

ただでさえ、数字ができない人は大変な想いをしています。だから、算数ができない人にやさしい教室が今、日本に必要です。

<文/堀口智之>