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つい買ってしまう、宝くじの確率心理学

なぜ人は、つい宝くじを買ってしまうのでしょうか?

最も還元額が高く、合法的に、超短期間でお金を手に入れる方法が、宝くじです。別名、「夢を買う」とも言われています。

買っている人もいらっしゃることでしょう。もちろん、「自分は買わないよ。」という方もいると思いますが、なんと国内市場は約8000億円と言われています。つまり、日本人一人あたり6000円~7000円程度の宝くじを年間で買っているというのが現実です。

宝くじといっても様々な種類があるので、 年末ジャンボ宝くじのような一等が億を超えてしまうような宝くじだけではありません。

ナンバーズ、ミニロト、ロト6や、スクラッチくじなどがあります。

特に「ジャンボ宝くじ」の売上は3000億円程度で、全宝くじのうちの売上4割程度を占めています。

 

宝くじ必勝法とは

宝くじの必勝法があるとしたら、知りたいですよね?私も知りたいです。(笑)

基本的な考え方をまずお話します。もし、必勝法があるとしたら、全員がそれをやってしまえば、返ってくるお金、還元率が跳ね上がってしまい、ギャンブルではなくなってしまうからです。払ったお金をさらに利子をつけて返すだけの慈善事業になってしまいます。

だから、構造的に必勝法はないはずです。もしかすると、ごくわずかに還元率をあげる何かがあるかもしれないので、必勝法は絶対ないとは言い切れないのですが、あったとしても還元率は1よりも小さくなるはずです。つまり、投資した金額(払った金額)に対して、返ってくる金額は平均的に低くなります。(もちろん1等は入ってますので、非常に小さい確率(数百万分の1程度)で、還元率が非常に百万倍など一気に高くなります。)

もし、必勝法があるとすれば、それぞれに確率の何らかの偏りが必要です。よって、偏りを何等か意図的につくれるのであれば、いくらか必勝法はあると思います。しかし、基本的に当たるかどうかは常にランダムです。当たるかもしれないし、当たらないかもしれない。この「当たらない」の比重が非常に大きいのが宝くじの特徴で、還元率は約47%となっており、ほぼ半額以上も戻ってこないというのが平均となっています。

シミュレーションしてみるとわかるのですが(※)、体感的には、購入額の2~3割程度の還元率になります。比較的当たっているときで、4割程度です。ごくたまに1等が当たれば、とてつもない還元率に跳ね上がります。参考リンクに宝くじのシミュレーションサイトを掲載しておきますのでぜひご自身でも試してみてくださいね。(※)

100万円分の宝くじを買うシミュレーションをした時の結果

 

なぜ宝くじを思わず買ってしまうのか

宝くじの1等が当たる確率は1000万分の1と非常に小さな確率です。でも、買ってしまいたくなる。なぜなら、

  • 「テレビでこの間当たった人の特集をやっていた。」
  • 「毎年数十人は億万長者が出ている」
  • 「最近、運が傾いている気がする」

など様々な理由があると思います。それは、「事例を知った」ことによって、まるでそれが身近であるように感じられているからです。

宝くじは、絶対に当たりがないことはないのです。当たりが絶対に入っています。0本ではないのです。絶対に1本以上は入ってます。ただ、その濃度が非常に薄い。

人は「小さい確率を大きく見積もってしまう」と言われており、行動経済学のプロスペクト理論で説明ができます。プロスペクトとは、「期待」のことです。

例え、1000万分の1(ジャンボ宝くじは、1000万~2000万本のうち、1等は1本だけになります。)と言われても、10人の高額当選者が出た!となれば、1億本が売れている事実に目をつむってしまい、つい、当たった人がいるという事実に目が向いてしまうのです。

「”大安”に買えばなんとなく、運が傾き、当たる気がする。」と。当たる気がしない人は買わないはずです。つまり、ほんの少しでも当たるかもしれないという希望があるからこそ、宝くじの購買意欲がわくのです。

とても小さい1000万分の1、されど、人の主観的な確率は1000万分の1よりもずっと大きく、1万枚くらい買えばなんとなく当たるかも、と思ってしまうのが人の心理というもの。

1万枚買ったとしても、ほぼ当たらない(99.9%以上1等は当たらない)のに、当たってしまうと勘違いしてしまいます。

では、人がどのくらい確率について誤った認識をしているのか、がわかればより適切な確率への向き合い方ができるはずです。

 

宝くじは最近は売上減少傾向

宝くじがこれだけ売れるというのはある意味素晴らしいことで、この還元率47%の補数である、53%は宝くじの粗利になります。この儲かったお金は販売手数料を除き、そのほとんどが各都道府県に納められ、公共事業などで使われております。収益割合だけみれば、非常に収益性の高いビジネスで、いかにギャンブルが儲かるかがわかる一つの事例となっていることがわかるでしょう。

しかし、最近当たり前といえば当たり前ですが、還元率が低いことが原因かは定かではありませんが、宝くじの売上額が2005年くらいから、ここ15年ほど減少傾向にあります。(※)

「主な購入層が年金世代になったこと」「店頭販売が中心になってしまっていること」「現役世代は価値観の多様化で宝くじに魅力を感じなくなってきていること」などいくつか理由があるようです。(※)


今回は、シンプルな数字の解釈、確率の心理学という観点から、宝くじをなぜつい買ってしまうのかを解説していきました。

個人的には、宝くじは還元率が悪い形ではありますが、別に買うこと自体が悪いことでは決してないと思います。還元率が低さを引き換えに、還元額が1億円を超えることなど非常に大きいことは間違いありません。リスクや還元率を前提にとらえたうえでご自身の考えの中で購入いただけたらよいのではないかと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

参考リンク(※)

  1. ジャンボ宝くじシミュレーター(2019年/年末ジャンボ宝くじ)
  2. 宝くじの現状と課題について(総務省)
  3. 宝くじの売上額なぜ減少? 主力購入層、年金暮らしに(おカネの自由研究)日本経済新聞

<文/堀口智之>