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日本と東京都の年齢別有権者率をグラフで比べてみた

政治は誰が決めているのか、という中で、国民全員が決めているのではなくて、

「高齢者の意見しか反映されていないのでは?」

という意見もあります。

若者がなぜ投票しないのか。様々な原因があると考えられ、私が以前監修したこちらの記事「選挙における若者の投票率は、日本の将来を左右するか?」でよくまとまっていますのでご参考ください。

若者の政治参加は民主主義において非常に大切なことです。会社もそうですが、「どうせ自分がやっても何も変わらない。」よりはずっと、「自分たちが参加することによって、多くの影響を与えられるのでは?」と具体的にその影響まで考えれば、政治・投票無関心から脱却できる機会にもつながると思いますが、そのためには、啓発活動もそうだし、選挙制度のやり方そのもの(先日投稿したネット投稿も一つのやり方です。)を変えることも必要です。

そもそも政治に参加することがどういう意味を持つのかも、教育されなければいけません。選挙の制度については学校では教わると思いますが、あくまで一般論。家庭で、家族との会話でどれだけ選挙の話題、政治的な会話があるでしょうか。(少なくともうちの実家では政治的な話はほとんどありませんでした。)思い出しても、批判的な話は多かったかもしれません。批判的な話の方が会話にしやすいのはあるでしょう。

 

有権者全体に対する割合を考えてみる

若者の選挙参画において大切なのはまずは現状把握です。例えば有権者全体に対する世代別比を考えてみましょう。グラフで考えていきます。

新しく有権者となった18~19歳の層でまず一つ、20~34歳までが若者でしょうか。35~49歳までを「壮年期」でしょうか。50~64歳が中年。基本15歳区切りにして考えています。65歳以上を「高齢者」としたときに、有権者全体に対して以下のような割合になっています。

まずは日本全国で

まずは日本全体で考えていきます。

日本の有権者全体に対する年代別の割合

実はこの時点でいくつか気づくことがあります。

・パッと見で右型あがりで、注目したいのは、20~34歳と35~49歳が同じ15歳の幅であるにも関わらず約7%もの違いがあります。これは人口にすれば約700万人も違うことを意味します。少子化が進んでいることがわかるグラフです。

・20~34歳の有権者の割合の2倍が、65歳以上の高齢者の割合になります。若者の投票率が100%になっても、65歳以上の投票率ほぼ50%程度で全く同数になること意味します。

・18~34歳までの有権者の割合(先ほどは20歳~でした。)であれば、19.5%までアップし、全員が投票したとしても、65歳以上の高齢者の投票割合の約57%となります。

・65歳以上の有権者の割合は、有権者全体に対して1/3。有権者の割合が日本全体では現役世代2人と高齢者1人によって成り立っている。

  

日本全国+東京都で考える

「日本全体」と「東京都単体」とで有権者全体における世代別有権者割合のグラフを比べてみたいと思います。少子高齢化の状況や地方と東京の格差もわかるグラフになります。

日本と東京都の有権者全体に対するそれぞれの年代別の割合

前回の記事(「若者の投票率があれば政治は変わるのか」)でも見ていった通り、18~19歳が有権者になったことで2%程度のインパクトになります。日本全体でも同じことです。

・65歳以上の有権者の割合は、有権者全体に対して日本全体では1/3。東京都は1/4。

東京都の有権者の割合は、日本全体から見たときに約10%程度若者・壮年期(20~49歳)に偏っている。日本全体はその分50歳以上の人口(有権者)の割合が大きい。やはり東京都と、日本の有権者の年齢分布・構成は違う。

以上、若者の投票について、選挙の在り方を考える上で、まず基本的にどのような状況になっているかを可視化し、その考察をしていきました。可視化とは、グラフにすることです。数字を用いて、あるいは、簡易的な計算を用いて適正に世の中を把握していくことはとても大切なことです。「見える」ようにするだけで、世の中は意外と見えてくるのです。

 

参考リンク

  1. 日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)|国立社会保障・人口問題研究所
  2. 統計局ホームページ/人口推計の結果の概要

※ 18歳、19歳の年齢は上記データより計算で算出

<文/堀口智之>