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先手と後手の勝率が一緒になることの数学的根拠を考える

こちらの記事の続きを書いてみます。⇒「ボードゲーム、先手がどれだけ有利か調べてみた

上記の記事からわかった通り、先手か後手だけでも勝率が変わってくるゲームはやはりあります。

 

先手と後手の勝率が一緒とは

例えば、将棋は少し、先手の方が有利という印象が残ります。将棋は、先手であれば12%ほど勝率が上がります。これがもし、どのくらい勝率の差であれば先手後手の勝率の誤差はないと言い切れるのでしょうか。

結論から言えば、およそ48.8.~51.2%程度であればほぼ一緒と言ってもよいと思います。なぜなら先手と後手の勝率は5%程度の違いですから、ほぼ無視されるのではないか、というのがその根拠となります。

統計学的にも、実力が五分五分、ランダムな戦いであると仮定すると、100回戦って、45回~55回の勝利となる確率は、72.9%であり、100回程度の戦いであれば、十分49~51回程度の勝敗の確率は無視できる程度になると言ってよいと思います。(※勝負、試合の回数が多ければこの限りではありません。)

あとは、人間の感覚的なところなのかなと思います。おおよそ等しいという印象なのではないでしょうか。将棋でも、先手の方が若干有利といえますが、実際の勝負となると、「明らかに先手有利だ!」という印象はほぼありません。その将棋の勝率の半分程度の割合の差と言えば、ほぼないと言えるというのも一つの理由です。

明らかに先手が有利なゲームは、ゲームとして面白さが出せるのであればそれでよいと思います。先手・後手を選ぶこと自体が一種のゲームとしての楽しさがあるからです。将棋もまず先手・後手自体にわずかな勝率の差はありますが、それそのものをゲームの特性として味わうという楽しみ方があると感じています。

例えば、同じ相手と戦う5番勝負、7番勝負はあるのですが、自分が先手であれば、その次の戦いは、自分が後手になる、というように先手と後手がある程度バランスよくなるように考慮されています。

このように、先手の有利に対しての数学的根拠について、数字や統計学の知識を用いて適正なものを試行錯誤しながら考えることは大変面白く、ゲームのさらなる興味関心を引き立てます。

<文/堀口智之>