研修の効果が定着しないときは、実務で使う機会があるか、手順が決まっているか、点検の基準がそろっているかを分けて確認します。受講者が内容を覚えていないと決めつける前に、学んだ手順を使う場面が月に何回あったかを数えます。受講後に資料の書き方が変わらなかったとしても、それだけで研修の内容が合わなかったとは断定できません。
この記事では、受講後3か月の時点で何を確認するかと、続ける・変える・やめるの判断の分け方を紹介します。以下の件数の設定は、説明用に作成した架空のものです。
「定着しない」を、使う機会・手順・基準に分ける
「定着しない」という言葉には、状態の違うものが混ざっています。実務で使う場面がそもそもなかったのか、場面はあったが手順が決まっていないのか、手順はあるが点検の基準が人によって違うのか。この3つは、打つ手が別です。
使う機会がなかった場合は、研修の内容ではなく対象者の選び方の問題です。月次報告を作る担当が受講していなければ、学んだ手順を使う場面は来ません。手順が決まっていない場合は、様式と記入例を先に用意します。基準がそろっていない場合は、点検する側の見方を先にそろえます。
どれに当たるかは、受講者への質問だけでは分かりません。実務資料と、提出から確認までの記録を併せて見ます。扱う力の範囲を言葉で整理するときは、数字力の用語解説が使えます。
受講直後に決めておく、3か月後の確認対象
3か月後に何を見るかは、受講の直後に決めます。終わってから決めると、そのとき手元にある数字が確認対象になり、研修の前後で条件の違うものを比べることになります。
決めるのは4つです。どの資料を見るか、誰が点検するか、どの基準で点検するか、いつの分と比べるか。月次報告を見るなら、受講前の3か月分を先に保存しておきます。比較の対象は、受講の前に確保しておかないと後から作れません。
比べる相手も決めておきます。受講の直前3か月と比べるのか、前年の同じ時期と比べるのか。繁忙期をまたぐ業務なら、直前の3か月は条件が違います。どちらを選んでも、選んだ理由を1行残しておきます。
確認1:実務資料を、同じ基準で点検する
点検は、同じ様式の資料どうしで行います。見るのは、研修で扱った手順が使われた形跡です。数字の出どころが添えてあるか、何と比べた数字かを一文で示せているか、計算の結果だけでなく元の値も残っているか。この3項目を、受講前の3か月分と受講後の3か月分に当てます。
集計は、書いた担当ごとに数えず、資料の様式ごとにまとめます。担当ごとに点を付けると、点検に通ること自体が目的に変わり、読み手にとって扱いやすくなったかどうかが見えなくなります。
点検はできれば2人で行い、判断が割れた項目を残します。1人だけで見ると、基準が途中で動いたかどうかを後から確かめられません。割れた項目は、基準の書き方を直す材料になります。
確認2:本人の申告と、資料の記録を並べる
説明用の架空の例です。ある部署で、提出された資料について担当者へ数字の根拠を問い合わせた回数が、受講前の月は45件、受講後3か月目の月は27件でした。差は18件で、18÷45×100=40%の減少です。分母の45件は、受講前の月に出た問い合わせの件数です。
同じ期間の修正件数も並べます。提出件数は60件から50件へ、提出後に数値を直した件数は9件から8件へ変わりました。率にすると 9÷60×100=15.0% から 8÷50×100=16.0%で、1.0パーセントポイントの上昇です。質問が40%減っても、資料の正確さが改善したとは限りません。
質問が減った理由には、聞きにくくなった、確認する担当者が変わった、提出物そのものが減ったといった別の説明も残ります。本人の申告と、資料に残った記録を並べ、どの説明なら両方と矛盾しないかを見ます。
同時に変わった条件を記録する
受講の前後で変わったのは研修だけとは限りません。様式の変更、担当者の異動、繁忙期との重なり、元データの提供時刻の変更。これらを一覧にして、いつ変わったかを日付で残します。
記録がないと、差が出たときも出なかったときも説明ができません。差が出た場合は他の条件の影響を否定できず、差が出なかった場合は条件が悪かったのか内容が合わなかったのかを分けられません。
続ける・変える・やめるの判断を分ける
3か月後の判断は3つに分かれます。同じ内容を次の対象者へ広げる、内容や対象を変えて続ける、いったん止めて別の手を打つ。どれを選ぶかは、点検で直った項目と直らなかった項目の内訳から決めます。
直らなかった項目は、原因を仕分けます。報告の様式にその欄が用意されていない、必要な元データが提出期限に間に合わない、といった原因なら、研修を足しても変わりません。先に業務側を直し、そのうえで同じ点検をもう一度行います。
他社がどの範囲まで実施しているかを知りたい場合は、和からの法人研修の導入事例で対象者と実施の形を確認できます。研修で扱えるのは数字の読み方と説明の手順までで、集計の締め日や様式の設計は社内で決める作業になります。
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