数字力研修の効果を稟議書に書くときは、「期待する変化」「その根拠」「実施後の確認方法」を分けます。「数字力が向上する」という抽象的な説明や、「売上が必ず伸びる」という未検証の約束だけでは、費用に対する判断材料が不足します。
本記事では、数字の報告業務を題材にした稟議書の記載例を紹介します。数値はすべて架空であり、和からの研修の実績や効果を示すものではありません。
現状は「困っている」から一歩具体化する
例えば「営業資料の数字が分かりにくい」を、「直近1か月の報告120件中24件で、前年比と増加率の表記に修正が必要だった」と書き換えます。修正の定義、対象期間、確認者、対象資料も記録します。
この場合の修正対象率は24÷120×100=20%です。ただし、この24件すべてが知識不足によるとは限りません。テンプレートの表記、入力ルール、データの受渡しも確認し、研修で扱う問題と業務改善で扱う問題を分けます。
学習目標と業務目標を分けて書く
学習目標は「前年比と増加率を計算し、分母の違いを説明できる」のように、課題で確認できる内容にします。業務目標は「月次報告で比較の基準を明記し、同種の修正を減らす」とします。
CDCの研修効果測定の説明でも、学習したかと、職場で活用できたかを分けて確認しています。本記事では、それぞれを「確認課題」と「実務資料の点検」に対応させます。
数トレの数字の理解から仕事への活用へ進む学習方針に沿って、計算の正答だけでなく、数値の説明や報告での使用まで到達点を具体化します。
記載例:数字力研修の実施目的と確認計画
目的:月次報告で前年比と増加率を使い分け、読み手が再計算できる資料を作成する。
対象:当該資料を作成・確認する担当者。人数と選定理由は別記する。
現状:対象月の報告120件中24件に、所定の表記修正が必要だった。
実施内容案:割合の基準、増減の説明、元データを使った検算の演習。併せて報告テンプレートの列名を統一する。
確認方法:実施前後に同程度の別課題を行い、一定期間後に実務資料を同じ基準で点検する。
目標案:修正対象率を20%から10%へ下げる。実現可能性は事前確認と試行を踏まえて見直す。
担当・時期:測定担当者、実施日、追跡日、結果報告日を記入する。
ここでの10%は、あくまで目標案です。研修会社の保証値や、すでに確認された効果として記載しないでください。
20%から10%への変化を、正確に説明する
同じ条件の報告120件中、修正対象が24件から12件へ減れば、率は20%から10%になります。差は10パーセントポイント、元の率に対する相対的な減少は(20-10)÷20×100=50%です。
「10%改善」だけでは意味が曖昧です。「修正対象率が20%から10%へ、10ポイント低下」と、元の値と分母を示します。資料の難しさや確認基準が変わった場合は、単純比較の限界も記載します。
時間の削減と、現金支出の削減を混同しない
120件の報告について、1件あたりの作成・確認時間の合計が5分短縮したと仮定すると、120×5=600分、月10時間です。1時間あたり3,000円で評価すれば、時間換算の価値は月3万円になります。
ただし、固定給が変わらなければ、その3万円がそのまま現金の支出削減になるわけではありません。空いた時間を別業務に使えることと、残業代や外注費が実際に減ることを分けます。削減の想定期間や、繁忙月にも同じ短縮が続くかも確認が必要です。
費用側には受講料だけでなく、対象者の受講時間、準備、運営、追跡確認の時間も含めます。費用に対する便益を試算する場合は、対象期間と評価単価、未検証の仮定を明記します。
実施前後の改善だけで、研修の効果と断定しない
研修と同時にテンプレートを変更したなら、改善にはその影響も含まれます。担当者、業務量、システム、確認基準など、同時に変わった条件を記録してください。条件の近い対象との比較や複数時点での確認が可能なら、追加の判断材料になります。
満足度や上司のコメントも参考になりますが、計算ができたことや実務で使えたことの代わりにはしません。確認質問が減っただけで、資料の正確さまで改善したと結論づけないことも重要です。
研修会社へ確認する資料を、稟議の目的に合わせる
カリキュラム、演習例、対象者の前提、実施条件、見積もり、測定への対応範囲を確認します。他社事例を見る場合は、対象、期間、測定方法が自社に近いかを検討してください。導入社数やメディア掲載だけで、自社での効果を予測することはできません。
和からの研修を検討する際は、法人研修窓口へ、現状の資料と到達点、稟議に必要な確認事項を伝えて相談してください。
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