お問い合わせ

大きい計算間違いを絶対に防ぐ「ケタ後回し計算」術を解説しました

さて、大きい計算間違いを絶対に防ぐ、ケタ後回し計算術を解説する動画を公開しました。ブログでもご紹介しましょう。

今回は「大きい計算間違いをしないための新しい計算方法」をご紹介します。私はこれを「ケタ後回し計算術」と呼んでいるのですが、数字が苦手な方ほど劇的に計算ミスが減るので、ぜひ最後まで読んでみてください。


なぜケタを間違えると致命的なのか?

まず覚えておいていただきたいのは、「計算ミスには優先順位がある」ということです。

  1. 最もやってはいけないミス:ケタの間違い
  2. 次に避けたいミス:頭の数(主要な部分)の間違い
  3. 最後に気をつけるミス:細かい部分の間違い

例えば、値札を「2万円」と見間違えてレジに持っていったら、実際は「20万円」だった…というようなケタの勘違いをしてしまうと、ものすごく恥ずかしいですよね。日常生活の小さな買い物ならまだしも、会社の契約書や請求書で「2000万円」を「200万円」としてしまうと、大損害どころか倒産の危機に直結することもあります。だからこそ、ケタのミスは計算において一番気をつけたいわけです。


ケタ後回し計算術とは?

「ケタ後回し計算術」とは、その名のとおり最初から小数点やゼロの数を厳密に気にせず、「大まかなイメージ」を先に持って、最後の段階でケタを調整する計算方法です。

学校で習う一般的なやり方だと、「○○を掛けてから小数点を動かして…」と、一連の手順を間違えるとあっという間に桁ズレが起こります。電卓やエクセルに数値を打ち込んでも、入力が間違っていれば正しい答えは得られません。ところが、数字に強い人は「ざっくりとした結果」をイメージしてから電卓を叩くので、「いくらなんでもこれは小さすぎる(あるいは大きすぎる)かも?」と一瞬で気づけるのです。これがAI時代に“人間”が最後に担う計算における大事な役割なのです。


計算例で学ぶケタ後回し計算術

例題1:4800 × 0.6

  • ざっくりイメージする
    0.6は60%です。4800の60%は「4800の半分(2400)」よりちょっと多い値になりそうですよね。つまり、答えは「2400より少し大きい数字」になるはずだ、とイメージを持つことが大切です。
  • 実際の掛け算(頭の数から)
    まずは「48 × 6」を筆算でなく、頭の数を最初に計算します。
    1. 4×6 = 24(まず大きい桁の計算)
    2. 8×6 = 48(次に小さい桁の計算)
      このように分割して合計すると288になります(このやり方はプラスボウとして別の動画で解説しています。)が、これはあくまでも「48と6の単純掛け算」。実際の数字は4800と0.6です。
  • 最後にケタを調整する
    ざっくりイメージでは「2400ちょっと」でしたね。288をどこに“桁移動”すれば2400ちょっとに近づくのか? → 2880 が正解です。
    こうして「まずは大きさのイメージをつかむ → 最後に桁を合わせる」というステップを踏めば、桁のミスを激減させられます。

例題2:63000 × 0.07

  • まずはイメージ
    0.07は7%です。10%なら6300ですが、それより少し小さいはず。すると「5000くらい」というイメージでざっくり構えます。
  • 掛け算をしてみる
    「63 × 7」=441。
    これはあくまで「63と7の掛け算」です。
  • ケタを調整する
    実際は63000と0.07ですから、最終的には 4410 が妥当。最初のイメージ「10%より小さいから5000くらい」に合致しますよね。

電卓やエクセルを「使いこなす」ために

電卓やエクセルは正確に計算してくれますが、入力ミスがあれば誤った答えを堂々と出してしまいます。そのとき、「なんだかおかしいぞ?」と気づくためには、超ざっくりイメージした結果との整合性を確認する必要があります。これこそが、人間にしかできない“最終チェック”なのです。

  • ケタ後回し計算術の手順
    1. 計算の意味をイメージする(何%くらい? 半分より上? 下? など)
    2. 掛け算や割り算は、まず大きい桁(頭の数)から計算する
    3. イメージした値に合うように、最後にケタを後回しで微調整する

これだけで、大きな計算間違いを格段に減らせます。「思っていたより大きい(小さい)な?」と違和感を覚えたら、そこで気づいて修正すれば大丈夫です。


さらなる学びのために

この「ケタ後回し計算術」をはじめ、数字が苦手な大人でもすぐに使えるテクニックをまとめた拙著『仕事ができる人がやっている ざっくり計算力を身につける』(青春出版社)が3月に発売となります。表紙もかわいらしく、内容はさらに詳しくステップを踏んでご紹介しています。ぜひお手に取っていただき、日々の仕事や生活で活用してみてください。

『仕事ができる人がやっている「ざっくり計算力」を身につける』(青春出版社)著:堀口智之、2025/3/24発売


おわりに

桁を間違えない、頭の数を間違えないというだけで、計算の精度は大幅に上がります。繰り返しますが、計算はもはや電卓やエクセルに任せればOK。しかし、出てきた結果を「これで本当に合っている?」と確認できる力は、最後に人間が担うべき大切なステップです。ぜひ「ケタ後回し計算術」を身につけて、大きな計算ミスを防ぎ、数字を武器にしていきましょう!