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円安・円高【経済用語をやさしく解説】

円安・円高とは

円安とは、円の価値が他国通貨と比べて相対的に低くなった状態のことです。反対に、円高は円の価値が他国通貨と比べて相対的に高くなった状態です。

ニュースや新聞などで円安・円高が取り上げられるときは米ドルと円の換算レートを決めるドル円相場を参照しているときが多いです。これは、現在ドルが基軸通貨となっていて、取引量や信用が大きいためです。

世界には様々な通貨が存在しますが、これらの通貨の交換を可能とするために、市場が開かれます。この市場での需要と供給を基に為替相場が決定されます。

例えば、ドルを売り円を買いたい人が沢山いたら円の価値は高いと判断され円高になります。反対に、円を売りドルを買いたい人が沢山いたら円の価値は低いと判断され円安になります。

円安による影響

円安とは、他国通貨と比べて円の相対的価値が下がることでした。では、円安になると経済にはどのような影響が及ぼされるのでしょうか。

例としてドルでの取引を考えてみましょう。
2021年に1ドル100円だったのが2022年には1ドル150円になった円安相場を考えます。このとき、1ドルを買うのにより多くの円を必要とするため、円の価値は下がっており円安になっています。

代表的な円安の影響としては輸入品の価格上昇が挙げられます。
例えば、キロ10ドルの牛肉のスーパーでの値段を考えてみましょう。2021年には1ドル100円だったのでこの牛肉は1000円で買えます。しかし、2022年には1ドル150円になってしまったのでこの牛肉は1500円に値上がりしてしまいます。

このように、輸入品の価格が上昇することで我々の身の回りの様々なモノの値段が逼迫することがあります。他にも、海外旅行に行った時の出費も大きくなります。

円高による影響

円高とは、他国通貨と比べて円の相対的価値が上がることでした。
次に、円高による経済への影響を考えてみましょう。

同じく例としてドルでの取引を考えます。
2015年に1ドル120円だったのが2016年には1ドル100円になった円高相場を考えます。このとき、1ドルを買うのに必要だったお金でより多くのドルを買うことができるため、円の価値は上がっていて円高と判断できます。

円高相場では国内企業の輸出において不利になります。
例えば、240万円の国内車は2015年の相場では2,400,000÷120=20,000ドルですが、2016年の相場では2,400,000÷100=24,000ドルです。一見するとドル建ての収入が増えて良いことのように見えるかもしれません。しかし、アメリカの消費者側の視点からすれば同じ商品に24,000÷20,000=1.2倍の支出を要することになるので購入をためらってしまいます。
結果的に購買額が落ちてしまい、国内の輸出企業にとっては打撃となります。

まとめ

はじめは円安・円高といった概念が煩雑な金融用語の一つにしか見えないかもしれません。しかし、円安・円高の概念は私たちの日々のスーパーでの買い物や海外旅行の際の出費など様々な日常のシーンに影響を与えます。

為替相場は24時間365日様々な要因によって変動していて、時にはその道のプロであるトレーダーにも予測できないほどだと言います。そんな不確実性の高い市場の中でも、円安・円高リスクを把握することで世の中の動向を解像度を上げて理解できるのではないでしょうか。

<文/須藤>