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集団授業、全員満足は可能か?

全員満足をする授業を目指すべき?

学校の先生からこんな相談をされたことがあります。

「数学の授業、生徒全員に100%満足してもらえるにはどうしたらよいですか?」

と。いやー困りました。
なぜ困ったかと言えば、数学の集団授業で、全員が満足できる授業をすることはほぼ無理だからです。

 

マンツーマンなら数学はほぼわかってもらえる

個別指導で数学を教えるのであれば、満足は100%は経験上可能だとは思います。

もちろん、自分の指導分野以外を学ぶことを希望するのであれば、満足度100%は厳しいですが。それでも、非常に高い満足度を実現できる授業は十分可能であると思います。

しかし、それが集団ならどうでしょう?

 

集団授業だと無理ゲー化する

集団で数学を教えるとき。もちろん、生徒が全員同じレベルで同じことを求めている人だけを集められるのであれば可能であるかもしれません。しかし、現実はそうはいかず、現状のレベルも違えば、何を目的としているのかも違う生徒の集まりの授業になってしまいます。

数学教育を起業してから10年以上向き合い、かつ、それ以前にも3年ほど教育業界に関わってきて、算数、数学教育の専門家といってもよい(であろう)私から言えば、全員に満足度100%の授業をすることは現実的には無理だと思います。クリアほぼ不可能なゲーム、「無理ゲー」に挑戦しているのと一緒です。もちろん、100%、全員に近づける努力をすることは可能はありますが。

例えば、工夫することです。できる人には、難問を集めたり、考えさせられる数学的思考力を使うような応用問題を解いてもらうことで飽きさせない授業はできるとは思います。

「わからない。」人が一人で生まれたときに、そこに手を差し伸べることも一人ならできるかもしれません。

数学という科目は特に、ちょっと聞き逃しただけで「わからない。」が発生する積み上げ式の学問です。途中から話を聞いてもさっぱり・・・ということも発生してしまいます。石ころにつまづく人が多く、一度躓いた人は手を差し伸べないと、なかなかその場から動けないのも特徴としてあるのです。

こんな例え話ならどうでしょう。40人で登山をします。一人脱落したら、どうするでしょう。一人脱落くらいなら、先生一人でおんぶで連れていくことはできるでしょう。でも、3、4人もでてきたらきっとその人たち優先で進むことになるでしょう。しかし、先頭で歩きたい集団はずっとあとからゆっくり登る人達を待つことになるでしょうか。それはきっと速く登りたい子たちを阻害させてしまうことにつながるはずです。

より多くの満足を目指す授業であれば、真ん中くらいの理解の子が一番ボリュームとしては多いので、そこに合わせる方向に必然的になってしまうと思います。

 

無理なことは考えない、できることに力を注ぐ

これは希望を捨てているのではなく、本当に無理だと思います。

先生として、無理ゲーを強要されることほど精神が追いつめられることはないと思います。やったらできることは、よいと思うのですが。無理ゲーなのに、無理なことをどうやったらできるかを考えていたら病みそうな気がするので、「最善に近づける」発想や、「仕組みとして解決する」方向を目指した方が精神上安全です。

落ちこぼれがどうしても出るのは、先生のせいではなく、仕組みのせいです。ずっと遥かに優秀な先生であれば何等かの方法でできるかもしれませんが。ただ、そういったオリンピッククラス級の技術は全員ができるだけではありません。

いや、もし全員完璧に満足できるのであれば教員全員が今それをやっているはずで、そんな方法があったら長い教育の歴史の中で既に共有されて、実践されているはずです。そんな現代の授業で中学2年生が数学嫌い5人中3人ですから、難しいということが明らかにわかるはずです。

数学ではなく、「100%満足」だけなら、相当エンタメに振ることになると思います。そのエンタメとしての満足が、10年先の教育結果として「満足」につながるのであればそれでよいと思いますが、エンタメ100%の授業がそうなるのもなかなか難しいともいます。(これは未だどの学習塾、学校でも実現できていないと思います。)

リソースが限られるのが学校の授業の世界です。これは企業でも同じ。生徒10人に先生10人がつくことはコスト構造上できません。40人に一人。だからこそ、今できるICTツールの活用をしたり、個別で別途のサポートをしたり、うまくその子に合った、その子が求める方向の教育を仕組みとして進めていくのがよろしいと思います。

最近では、少人数学級の実現に向けて取り組みが進められており、来年度には具体的な予算が組み込まれるよう、萩生田文科相が進めているというニュースも注目されております。40人の授業が30人、20人になればより一人一人に手を差し伸やすくなる、一人ひとりに向き合える時間は平均的に多く確保でき、数学嫌いになる生徒の割合も低くなることにつながるとは思います。(こちらについては後日さらに記事で深堀していきます。)

ただ、(中学2年生の段階で)6割の数学嫌いに対する大きく割合が減る仕組みになるかどうかは単純に少人数にして云々の問題ではないように感じています。複合的に様々な取り組みが必要でしょう。

 

最もよい教育とは

最もよい教育は、一人ひとりにあった教育です。画一的な教育ではありません。探求学習や詰め込み学習が最善ではなく、探求学習が向かない子もいるし、詰め込み学習が向かない子もいます。最適な学習方法は一人一人に違うはず。

本来の目的はその子自身がこれからをよりよい未来にすること。教えることではなく、そのためにできるサポートをするというのが教育者の役目だと思います。

大人の方も一緒です。集団だと限界がある。だから、個別にサポートも創業10年前から個別指導を大切に進めてきました。

集団でのセミナーでも100%満足は無理ではあります。なので、各種セミナーでも、「面白かった。」「面白くなかった。」とたくさん意見が出て当然です。もちろん、満足の割合をできる限り高めていく努力は当然大切です。

<文/堀口智之>