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藤井聡太2冠になぜ3連敗が一度もないのか?数学的に考察してみた

9月22日、藤井聡太2冠は、羽生善治9段と対局し、負けました。非常に難しい局面が続く中で、突然の詰みが。羽生9段はわずかなチャンスを逃しませんでした。

さて、この戦いにおいて、藤井聡太2冠の勝率は下がり、80.8%となりました。これでも十分8割越えと高いのですが、平均勝率84%の藤井聡太2冠からすればちょっと下がってしまった印象です。

羽生善治9段と戦う前には今年の勝率は84.0%でした。80.8%と84%。勝率が高いからこそ、1敗しただけで3.2ポイントも勝率が落ちてしまったのです。

 

今年2020年の藤井聡太は後手の方が強い

なんと、今年2020年の藤井聡太2冠の対局は非常に変わった勝率になっています。なぜなら、後手の勝率が100%なのです。

普通は、先手よりも後手の方が若干勝ちにくい数字が出ています。前もこの先手、後手については勝率を考察する記事を書きました。だいたい3~5ポイント程度後手の勝率が下がるという傾向がありますが、今年は藤井聡太2冠、なんと後手の方が明らかに強いのです。(参考:先手と後手の勝率が一緒になることの数学的根拠を考える

もちろん、確率的にはたまたまであるともいえるのですが(笑)後手の対策をしてきているのかもしれませんね。逆に先手の勝率が若干低く、68.8%となっています。

 

勝率を考察したうえで見えてきた3連敗の確率

さて、この藤井聡太2冠の今まで(2016年のデビューから9月22日まで)の勝率は83.7%(217戦190勝37敗)であることがわかっています。
この83.7%を考察してみると、恐ろしい結果が見えてきました。

たった一つの問いです。

藤井聡太2冠は、「30連勝する確率」と「3連敗する確率」、どちらが確率が高いと思いますか?

実は、3連敗する確率の方が低くなるのです。つまり、3連敗するとき、それは、30連勝していてもおかしくない、と解釈できるのです。

実際の確率は、30連勝の確率は0.48%。3連敗の確率は0.43%です。わずかな差ではありますが、確かに30連勝の方が確率が高い。まさに勝率83.7%がいかに高いかがわかる、異常な世界のようにも思えます。

まさに、怪物。化け物。そんな言葉が似あってしまうほど、凄まじい勝率ということです。

 

実際に2連敗はどのくらいあるか

3連敗はなくとも、2連敗は何度かはあるかもしれない。実際に探してみると、いくつかありました。

  • 2016年 0回
  • 2017年 1回
  • 2018年 1回
  • 2019年 2回
  • 2020年 0回

これだけの回数2連敗はしていますが、3連敗は一度もありません。既に217回も対局を終えていて、3連敗が一度もないことも恐ろしいですが、2冠を達成していく中で、A級棋士、すなわち、プロの中でも最も強い棋士たちとも戦っていて、この勝率を維持していることが信じられません。

これからも藤井聡太2冠の活躍に目が離せませんね!

こちらの動画で詳しく解説しましたのでぜひご覧ください。

 

<文/堀口智之>