数学的思考入門セミナーで数学を教え終わったあと、質問タイムにこんなものをいただきました。
「堀口さんはコロナを分析するときにどの数値を見ていますか?」
今の私は、ほぼ間違いなく「1日あたりの陽性者数(確認された数)」とその推移をまずは見ています。
なぜなら入院者数とか死者数の先行となる指標で、必ずこの数が増える前に陽性者数が増えるのです。
「「入院者数」や病院の受け入れ体制、つまり「病床使用率」や死亡者数の方が大切なのでは?」という疑問があるからこその質問をされたのだと思います。普通は、テレビやSNSで流れてくる陽性者数を見ればよいだけですから。
TwitterなどSNSを見ていると、「死者数は少ない。だから安全!」という声もありますが、非常に危険な意見だと思います。なぜなら、重症までのタイムラグや死者数カウントまでのタイムラグが考えられていないことや、陽性者数が増えればそれだけ一気に陽性者を増やす原因にもつながってしまいます。
感染から重症患者数へのタイムラグ
感染が判明してから重症患者になるまでにどのくらいのタイムラグがあるのでしょうか。
グラフを見てわかる通り、7月15日の段階で約50人しか重症患者はいませんでしたが、今は100人をようやく超え始めました。イメージ的には7月2週目の感染者が2週間遅れで重症患者数に出てきている感じでしょうか。(実際のところは重症者の方は長期に在籍する場合もあるので、こんな単純計算ではありません。)
1日300人~500人くらいの感染者数で50人の重症患者ということは、単純計算で1日3000人規模が続いてしまえば、一気に10倍の重症患者数になります。
今はご覧の通り、死者数は落ち着いてはいます。今の死者数が少ないのは、感染者数からのタイムラグや、陽性者における年齢層が変わってきたことです。(このあたりはさらに分析が必要です。)
感染から死亡へのタイムラグ
感染から死亡へはどのくらいタイムラグがあるのでしょうか。今年(2021年)の1月の感染者数を眺めてみます。1月7日がピークで2520人だったそうです。
それが死亡へと流れるのですが、だいたいなんと24日ほどピークまでかかります。3週間~4週間くらいでしょうか。徐々に徐々に、亡くなる方が増えていくのです。
毎年のインフルエンザが1000万人規模で感染者が出ていたように、新型コロナウイルスに1000万人も罹ってしまったらどうなるか。考えたくありませんが、どこか機会があればシミュレーションを考えてみたいと思います。
昨年初期の段階に比べて死亡率は確かに下がってきてはいるという現状はあるものの、インフルエンザよりは圧倒的に危険であることに変わりはありません。
あとは、何より自分は罹りたくはありません・・・。2週間も辛い想いをしたくないですし、隔離されたら本当に面倒だし、仕事が全くできないのは困ります(笑)だから、陽性者数を確認し、その陽性者の数倍の感染者が市中にいると考えて行動をしています。
増えている今だからこそ、より慎重に行動していくべきです。
陽性者数だけですべてを判断するのもおかしい
また、ワクチン接種の普及や感染年齢層の変化によって、様々な数値も変わってきてはいます。現に死者数が感染者数の0.1~0.3%程度のオーダーになっているように見えます。(0.1~0.3%は安全ではなく、インフルエンザよりも死亡率が高いです。)
単純に陽性者だけですべてを判断するのも間違っていると感じています。引き続き、コロナについて観察を継続していきます。
<文/堀口智之>