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数字が苦手な部下をどう支援する?資料と対話でつまずきを確かめる方法

小さな丸テーブルで年上の男性と若い女性社員が同じ用紙を並んで見ている場面を、にじみと紙目を生かした淡い水彩で描いたイラスト

部下の資料提出が遅い、数字の質問に答えられない、同じ計算ミスが続く。こうした状況だけで、「数字が苦手」「苦手意識を隠している」とは断定できません。元データの不足、指示の曖昧さ、作業量、ツールの操作、計算の理解など、どの工程に問題があるかを本人と確認することが出発点です。

この記事では、管理職が資料と対話から支援内容を決めるための手順を紹介します。心理状態を見抜く診断ではありません。

まず「見えた事実」と「上司の解釈」を分ける

「数字から逃げている」は解釈です。「先週と今週の報告で、増加率の分母が違っていた」は、資料を見て確かめられる事実です。声をかけるときは、後者を起点にします。

今回の増加率は前年の数字で割っていますが、前回は今年の数字で割っていました。どちらを基準にするか、一緒に元の表から確認してもよいですか。

提出遅れについても、「集計に時間がかかったのか」「データが届くのが遅かったのか」で対処が変わります。本人が答えにくそうな場合は、人前で理由を決めつけず、落ち着いて資料を確認できる時間を設けます。

つまずきを「集める・計算する・説明する」に分ける

集める:必要なデータを取り出せるか

出典、閲覧権限、更新時刻、抽出条件が分かるかを尋ねます。売上の定義が受注額なのか計上額なのか、担当者によって違っていないかも確認します。必要なデータが渡されていなければ、割合の練習だけを増やしても、その障害は残ります。

計算する:何を基準にした式かを説明できるか

電卓で答えを出せるかだけでなく、「この式の分母は何ですか」と確認します。計算そのものは正しくても、前年比と構成比を取り違えている場合には、操作練習より、比較の意味を学ぶ必要があります。

説明する:事実と推測を区別できるか

増減を読めても、その理由まで分かるとは限りません。「分かっていることを一文で」「まだ確認が必要なことを一つ」と分けて説明してもらいます。理由が不明なときに「未確認」と書ける報告のルールも整えます。

確認課題:同じ「20%」でも分母が違う

以下は本記事で作成した架空の例です。採点して人物を評価するためではなく、説明が必要な箇所を確かめるために使います。

A商品の売上が前年100万円、今年120万円。全商品の今年の売上は600万円でした。「A商品は20%です」と報告されたら、何を確認するでしょうか。

  • 前年からの増加率:(120-100)÷100×100=20%
  • 今年の全商品売上に占める構成比:120÷600×100=20%
  • 前年比:120÷100×100=120%

増加率と構成比は、答えが偶然同じでも別の意味です。本人に「何と何を比べていますか」と説明してもらいます。分母を説明できれば、少なくともこの課題で基準を区別できていることは確認できます。一問だけで、仕事全般の数字力が分かるわけではありません。

この「数字を見る→意味を言葉にする→報告文に戻す」という練習は、数トレの段階的な学習方針を部下指導に応用したものです。定義の確認には前年比構成比の解説も利用できます。

確認できた障害に合わせて、支援を変える

データの入手で止まるなら、受渡し時刻や担当を決めます。表計算の操作で止まるなら、手順書や検証済みの式を用意します。分母が分からないなら、実務に近い小さな数値例で比較の意味を確認します。説明で止まるなら、「事実・根拠・未確認事項・次の行動」の欄を設けます。

複数の原因が重なることもあります。研修だけで解決すると決めつけず、知識と業務の仕組みの両方を点検します。CDCの研修ニーズ分析の手順も、人と仕組みの要因を分けて検討しています。

次回の資料で、何を確認するかまで決める

その場で説明して終わりにせず、「次の報告では、割合の列に分母と対象期間を記載する」のように確認事項を一つ決めます。別の数字でも同じ考え方を使えたか、作業時間や修正箇所はどう変わったかを、同程度の課題で見ます。

目標は苦手意識を申告させることではなく、担当業務を確かめながら進められる状態を作ることです。チームで共通する学習課題が見つかった場合は、和からの数字力・データ活用研修の内容と照らし合わせて検討してください。

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