新任管理職が数字を確認するときは、定義をそろえる、全体と内訳をつなぐ、実績と見通しを分けるという順番から始められます。分からない数字を隠して判断するより、前提や確認先を明確にすることが必要です。
求められる役割は部署によって異なります。この記事では、チームの売上や目標を扱う管理職を想定し、具体的な点検方法を紹介します。以下の数値は架空の例です。
最初に「この数字で何を判断するか」を決める
同じ月次報告でも、予算を修正するのか、担当を変更するのか、問題の原因を調べるのかで、必要な情報は変わります。資料を読む前に、会議で決めることと、判断の期限を確認します。
次に、指標の対象、期間、単位、集計方法、更新時刻を確かめます。受注額と売上計上額、今月単月と年度累計、全店と既存店の数字を混ぜないようにしてください。
チームの達成率は、分子と分母を合計する
A担当の目標が100万円、実績が90万円なら達成率90%です。B担当の目標が50万円、実績が40万円なら80%です。チーム全体は、実績130万円÷目標150万円×100=約86.7%となります。
担当者の達成率を単純平均した85%は、各担当を同じ重さで見た平均であり、合計目標に対する達成率とは異なります。全体の割合を知りたいときは、元の金額や件数に戻ることを確認手順に入れます。
また、達成率だけで担当者の貢献や能力を決めないようにします。目標の設定条件、担当市場、引継ぎ、使える資源などの違いは別途確認が必要です。
売上の増減を、利益の増減へ読み替えない
売上が1,000万円から1,100万円へ10%増えても、売上総利益率が30%から25%へ下がれば、売上総利益は300万円から275万円へ減ります。売上だけを見た説明と、利益を含めた説明は変わります。
ここから確認できるのは売上総利益までです。人件費などの販売費・一般管理費を見ていなければ、営業利益の変化は分かりません。「利益」という言葉を使う際にも、どの段階の利益を指すかをそろえます。
実績、予測、目標を別々に置く
年度目標1,200万円に対して、6か月の実績が600万円だったとします。単純に2倍した1,200万円は、残り半年も同じ売上になると仮定した計算です。季節性、受注状況、単価、供給能力を考慮した予測とは限りません。
見通しを出すなら、「確定した実績」「未確定の受注や商談」「今後の仮定」を分けます。楽観・基準・慎重のように複数の条件で試算する場合も、どの条件を変えたのかを明記します。目標値に合わせるために予測値を調整しないことが重要です。
数トレの考え方を使う:数字を一文に戻す
数トレが示す、数字を理解して情報を読み解き、仕事で活用するという学習方針を、管理職の報告に応用します。本記事で提案する練習は、数字を見たら「基準を含む一文」と「まだ分からない一文」を書くことです。
チームの売上は目標150万円に対して130万円で、達成率は約86.7%です。未達額20万円の要因は、数量と単価に分けて確認する必要があります。
これなら、確認済みの事実と次の作業が分かれます。原因の特定前に、担当者の努力不足や特定の施策へ結びつけることも避けられます。
最初の90日に進める点検案
以下は進め方の一例で、習得期間や成果を保証するものではありません。支払い、法定手続き、重大な品質問題など、期限と影響が大きい確認は日程案より優先します。
- 最初の30日:主要な指標の定義、元データ、締め日、確認担当を整理し、前任者や関係部署と照合する。
- 31〜60日:全体と内訳の一致を確認し、実績と仮定を分けた見通しを作る。確認できない項目を残す。
- 61〜90日:報告の仕組みと役割分担を見直し、チームに必要な学習内容を決める。
異常に見える数字だけでなく、影響の大きい指標や、長く同じ数字が続いている箇所にも、元データとの定期的な照合を設けます。
質問できる確認先と、学ぶ範囲を分けて用意する
「この指標は未確認なので、○○さんと照合してから判断します」と伝えられる状態を作ります。説明を聞いても分母や比較の意味で迷う場合は、割合などの基礎を、実務の例で学び直します。
体系的に学ぶ選択肢として、和からの社会人のための「数字に強い」養成セミナーがあります。講座で扱う範囲と、自部署固有の会計・評価ルールは分けて確認してください。
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