経団連(一般社団法人日本経済団体連合会)名誉会長の御手洗冨士夫氏の名言の一つを考察していきます。
「数字なき物語も、物語なき数字も意味はない」
御手洗冨士夫氏
本質を突いた台詞で、私(堀口)自身も大切にしている言葉の一つです。この言葉を深く分析していきましょう。
物語だけあっても空虚
「世界を変えたい!」
という強気なセリフ。とても夢がありそうです。
でも、こんなツッコミもすぐに思いつくはず。何をどのくらい変えたいのでしょうか。それによって全くアプローチが変わってきます。
世界というのが、日本のことを言っているのか、海外のことを言っているのか、あるいは自分の身の回りの人のことを言っているのか。その具体的な対象や量、まさしくその周辺の数字が明確にならなければ結局何を目指しているのかが全くわからないのと同等になってしまいます。ある意味、呼吸をしているだけで大気に影響を与えているわけで、たしかに世界はごくごくわずかに変わっています(笑)
だからこそ、数字が必要なのです。
夢見るミュージシャンもそうかもしれませんね。夢は大きいけど、やっていることは一生懸命年に3回のライブのために、アルバイトの毎日。
「いつかはスターになれるかも・・・」と夢見ても、周りの人は「大丈夫か?」と思ってしまっています。目的を達成するための、スターになるための具体的な定量的な目標がそこには必要です。「いつか」を「いつ」にする具体的な計画が人を安心させることは言うまでもありません。
数字だけあっても空虚
「今年は1億円売り上げます!」
なんて威勢のいい言葉。気持ちが伝わってきます。でも、本当に達成できるでしょうか。
「どんな風に達成したいのか?」
と聞かれたときに、
「いや、特に方法はありません・・・。」
なんて言われたら、不安に思うのではないでしょうか。逆に、
「いや、既に10件3000万円までの契約は確定済です。実は、既に見込み客が40名いるのでこれからアプローチをかけていく予定で、夏には、年間に100万のインプレーシションが見込めるオンラインイベントを企画しています。決して率は高くないと思いますが、過去の経験から1万分の1程度のコンバージョンを見込めると考えています。だから・・・」
と数字で回答されたら、ものすごい安心感があるのではないでしょうか。もちろん、数字があっても、必ず達成できるという保証はありませんが、数字や実績がない物語は信ぴょう性に欠けます。今は誰もが発信できる機会を持っているからこそ、そこに至る具体的なストーリーが特に重要なのです。
だからこそ、物語だけを語るとき、それが映画や小説でなく、現実であるなら、あるいはビジネスの世界であるならば、必ず物語には数字をつけておくことが大切です。
ストーリーテリングとは
最近では、ストーリーテリングという言葉も注目されています。訳すと、「物語を語ること」たしかに、人の心を動かすためには、ストーリーがそのきっかけとなります。
「母が病気でなんとかそのために・・・」
となれば、たしかに一気に心引きつけられるでしょう。でも、それですべての現実が具体的に動くかと言われれば動きません。
「なんとかしたい。」ということでも、具体的にいくらの金額が必要で、どのような病院で、手術をしなければいけないのか、具体的な数字があるから行動計画を立てることができるのです。
以上、今回はキヤノン株式会社会長兼最高経営責任者(CEO)であり、経団連名誉会長でもある御手洗冨士夫氏の名言をご紹介させていただきました!最後までお読みいただきありがとうございます。
<文/堀口智之>