8月10日、筑波大学の熊谷恵子先生をゲストにお呼びして、「大人の算数障害を考える会」というイベントを開催しました。youtubeで公開もさせていただきました。
こちらに公開しておりますのでぜひご覧ください。一部編集して改めて公開したいと思っております。
昨日公開した記事の続きとして、こちらの学びと考察を公開していきます。
算数障害は日本だと2.3%くらいの人が該当
「算数障害の人はどのくらいの割合で存在するの?」という疑問には、日本国内で、2.3%くらいの人が該当するということでした。だいたい40人に1人くらいになるのでクラスに一人くらいでしょうか。そのまま大人になっていると考えると、人数としては約300万人くらいいそうです。
しかし、最近のイスラエルの研究だと5~6%くらいとのことで、大切なのは「明確な境界線はない。」ということを知っておくことです。いずれにせよ、2~6パーセント程度で、この算数障害の割合をあまり信用しないほうがよいと思います。
「自分はもしかしたら算数障害かも?」と思っている方はいるかもしれませんが、明確に診断するには医療機関での判断が必要になってきます。算数障害は一種のレッテルですので、明確な方もいると思いますが、多くは曖昧な方です。熊谷先生曰く、算数障害かはすぐに判断できない境界の方がすごく多いということです。
算数障害の境界についての実感
こんな人はどうでしょう。本当はすごく苦手だけど、「手続き」だけの習得をして問題は解けるという人はある一定の割合でいます。
具体的には、筆算の手続き自体はできるけど、筆算の意味が全くわからないままに行っているということ、ありませんか?問題は解けているからその苦手意識は克服しているようで、その「シンボルが意味するもの」、「概念」がよくわかっていない。
そういう方は、どんなに解いても算数の苦手意識をずっと持っています。正解したとしても、それが何かがずっとわからないのですが、問題は公式ややり方ががあるので解けるということです。問題は解けているけれど、理解はしていない場合、これは本当に得意と言えるのでしょうか。算数について語る力は持っているのでしょうか。
「理解」のレベルとして、「知っている」から、「表現できる」こと、「人にわかりやすく話せる」という3段階で考えたとき、「実際に表現はできているけど、マニュアル通り」ということになります。
これは、外側から見て、判断できるようなものではありません。本人の実感が大切です。なぜなら、問題が解けているからです。
算数障害の定義としても、そもそも問題が解ける場合は、あまり障害には見えませんし、解けないくらいの人が対象かとは思います。しかし、このような「解けるけど、わかっていない」は、実態としては多いと思います。
どこまでを障害というのかはセンシティブな問題で簡単に決めることはできませんが、算数の苦手がどこから生まれているのか、と考えると、広い意味での算数障害ととらえることができるかもしれません。
<文/堀口智之>