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脳科学で考える数学勉強法

先日、”つながりで覚える”のがよい(参考:大人が数字に強くなるための勉強法)記事を書きましたが、続けて脳の仕組みのお話をしましょう。

 

脳の記憶構造はどうなっているか

脳には海馬という部位があり、「記憶」の形成にかかわる重要な役割を担っているとされています。その海馬が、一時的な記憶を、ちゃんと覚えるかどうか「長期記憶」にするかどうかを決めていると言われています。

実は、海馬の「どうやったらきちんと覚えられるか。」という問題のカギを握っているのは、長期増強:LTP(long-term potentiation)という現象です。この長期増強は”何度も繰り返すこと”で起きる現象とのことで、つまりは学習したことの「復習」が必須ということです。しかも、一度ではなく、何度も行うことです。

しかし、この長期増強という現象ですが、なるべく少ない回数で起きたらよいなぁと思うのが現代を生きる大人の想いです。

そこで朗報です。実は、「好奇心」で学ぶことには、少ない刺激の回数で長期増強が起きるという研究もあるらしく、1/5~1/10 程度に繰り返しの回数を減らすことが可能になります。つまり、いかに興味を持って学ぶかが非常に大切です。覚えさせられるものがいかに覚えられないか、ということも思い出されます。

そして、もう一つ。扁桃体と言われる脳の神経細胞を活動させるとよいようです。この扁桃体は感情を生み出す役割をしており、喜び、怒り、悲しみといった気持ちを作っています。実は、この扁桃体が活動する、つまりは、感情と共に記憶するものについては、長期増強が起こり、ものごとをより覚えやすくなるということです。

確かに言われてみれば、極端に喜びがあったこと、悲しんだこと、怒ったことというのは、記憶に残りやすいように思います。彼女にフラれたことを1年以上引きずった私としても納得です(笑)

 

数学教育を脳科学で考える

つまり、数学を学ぶときには、好奇心を持つことが大切です

「なぜ?」「どうやったら?」とか疑問を持ちながら問題を向き合い、解いていきましょう。淡々と学ぶのではなく、その公式の意味や問題の構造がどうなっているかを好奇心を持ちながらいろいろと探ってみてください。

そして、数学を学ぶ際に、意味を感じながら学ぶとよいということです。単なる計算問題であっても、そのほとんどの問題は日常の中で紐づいている問題です。紐づいているから出題されているのです。だからオススメは文章題をたくさん解くこと。日常や仕事と結びつけて数学を学ぶことで感情を揺さぶりながら学ぶことのきっかけとなることでしょう。

脳科学からとらえてみる数学教育もこうして考えると面白いですよね!
ぜひ大人の数学学び直しにはこういった脳科学からの数学勉強アプローチも試してみてくださいね。

こちらの記事は、こちらの書籍とWEB記事を参考に記載させて頂きました。ぜひご覧ください。

引用:「高校生の勉強法」(池谷裕二著)-amazon

引用:長期増強-wikipedia

<文/堀口智之>