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個人事業主の資金繰り表の作り方|入金と支払のズレを見る

にじみと濃淡で描かれた三段の水盤を、上から順に水が流れ落ちていく、余白を大きく取った水墨画のイラスト

資金繰り表を作るときは、売上を計上する月、実際に入金される月、支払が出ていく月を別々の行に置きます。売上が立った月に現金が入るとは限らないため、損益の数字だけでは月末の残高を出せません。残高が読めないまま仕事を受け続けると、利益が出ている時期に支払が止まることがあります。

この記事では、4つの行で3か月分の現金の動きを追う手順を紹介します。以下の金額・月の設定は、説明用に作成した架空のものです。帳簿の処理や税の納付時期は、税務署または税理士へ確認してください。

黒字なのに現金が足りない、が起きる理由

損益の計算は、売上を計上した月と費用が発生した月で組み立てます。現金の計算は、入金された月と支払った月で組み立てます。この2つは、締め日と支払の条件の分だけずれます。

ずれが大きくなるのは、仕事が増えている時期です。受注が増えると材料費や外注費の支払が先に立ち、代金の入金は後から来ます。売上が伸びている月ほど、現金は減る方向に動くことがあります。資金繰り表は、このずれを月単位で見える形にする表です。

資金繰り表に並べる4つの行:前月繰越・入金・支払・翌月繰越

月ごとに、前月繰越、入金、支払、翌月繰越の4つを並べます。計算は「前月繰越+入金-支払=翌月繰越」の1本だけです。

  • 前月繰越:前月末に口座と手元にあった現金
  • 入金:その月に実際に入ってくる金額
  • 支払:その月に実際に出ていく金額
  • 翌月繰越:前月繰越+入金-支払

行を増やしたくなりますが、最初は4行で始めます。入金や支払の内訳は補助の行として下に置き、合計だけを4行へ戻します。合計の行が1本の式で計算できる形を、崩さないようにします。

売上を計上する月と、入金される月を別の行にする

売上の行は、資金繰り表の中では計算に使いません。参考として上に置き、入金の行と並べて見ます。代金の回収が翌月末なら、4月の売上は5月の入金の行に入ります。取引先ごとに条件が違う場合は、条件別に分けて記録します。

支払も同じ考え方です。カードで払った経費は、引き落としの月に支払の行へ入れます。売上と入金、費用と支払を同じ行に入れないことが、この表の要点です。

計算例:3か月の現金の動きを追う

説明用の架空の例で、4月から6月までを追います。代金の入金は翌月、支払は毎月70万円で一定とします。

4月は、前月繰越50万円、入金60万円(3月の売上分)、支払70万円です。翌月繰越は 50+60-70=40万円になります。4月の売上は80万円ありますが、入金は翌月のため、支払70万円が入金60万円を上回り、現金は 70-60=10万円減っています。

5月は、前月繰越40万円、入金80万円(4月の売上分)、支払70万円で、翌月繰越は 40+80-70=50万円です。5月の売上は50万円まで落ちましたが、月末の残高はむしろ増えています。

6月は、前月繰越50万円、入金50万円(5月の売上分)、支払70万円で、翌月繰越は 50+50-70=30万円です。売上が落ちたのは5月、現金が減るのは6月で、1か月ずれます。4月の売上80万円を分母にすると、5月の50万円は 50÷80×100=62.5%、減少額30万円で減少率は 30÷80×100=37.5%です。

残高が毎月の支払の何割にあたるかも見ます。4月末の40万円は 40÷70×100=約57.1%、5月末の50万円は 50÷70×100=約71.4%で、差は約14.3ポイントです。率の扱いは割合の用語解説で確認できます。

毎月同じ手順で更新するための決めごと

この表は、作ることより続けることのほうが難しくなります。更新する日、数字を取る場所、確定と見込みの区別の3つを、先に決めておきます。

更新は月初の決まった日にします。数字を取る場所は、入金は口座の入出金明細、支払は明細と請求書、売上は請求書の控えというように一つずつ決めます。複数の場所から取ると、月によって数字の意味が変わります。

確定と見込みは、印を付けるのではなく欄を分けます。見込みを入れた行は実績が出た月に上書きし、差を残します。桁を素早くつかむ考え方は概算力の用語解説で確認できます。

不足が見える月に、先に打てる手

3か月先まで並べると、残高が薄くなる月が先に見えます。先の例では、6月末の30万円が支払70万円の半分を切っています。打てる手は、入金を早める、支払を遅らせる、支出そのものを動かすの3つに分かれます。

入金を早める手は、請求書を出す日を前倒しする、着手金を設定する、回収条件を相談するといったものです。支払を遅らせる手は相手の同意が必要で、自分だけでは決められません。

どれも、月末の前日に思いついても間に合いません。表を3か月先まで置く目的は、不足を当てることではなく、手を打てる時期を残すことです。ただし、この表だけでは、その月の利益が出ているかは分かりません。損益の表と並べて見ます。

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