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創業融資の数値計画の書き方|売上と資金繰りの根拠の作り方

切り出した紙のシルエットで建物の並びと遠くの稜線が重なり、奥から暖色の光が差している影絵芝居のような一場面

創業融資の数値計画を作るときは、売上の根拠、費用の区分、手元資金の動きを別々に組み立てます。年間の見込みを月数で割って並べただけの表は、根拠を聞かれたときに戻る先がありません。利益が出る計画になっていても、それだけで資金が足りることの説明にはなりません。

この記事では、計画に載せる数字の組み立て方を紹介します。以下の金額・件数の設定は、説明用に作成した架空のものです。融資の条件と審査は金融機関の判断によります。

数値計画は、売上・費用・資金の3つを分けて書く

計画に並ぶ数字は、性質が3つに分かれます。売上は自分では確定できない見込み、費用は自分で決める部分が多い支出、資金は入金と支払の時期で決まる残高です。同じ表に混ぜると、どこを直せばよいかが分からなくなります。

作る順序は、売上、費用、資金です。売上と費用が決まると利益が出て、利益と入出金の時期が決まると資金の残高が出ます。利益の計算と資金の計算は、同じ数字から出発しても別の答えになります。

売上の根拠を、件数と単価に分解する

売上は、件数と単価に分けて書きます。月50万円という金額だけでは、根拠を説明できません。説明用の架空の例として、1件の売上を5万円、月の件数を10件と置きます。売上は 5×10=50万円です。

次に、その10件をどう取るかを書きます。営業日が月20日で1日に2件の相談を受けるなら相談は 20×2=40件、そのうち4分の1が成約なら 40×0.25=10件です。成約率は 10÷40×100=25.0%で、分母の40件は月に受ける相談の件数です。

成約率が25.0%から30.0%へ、つまり5.0ポイント上がると、件数は 40×0.30=12件になります。率の変化は、そのつど件数に戻して確かめます。率と件数の行き来は割合の計算のまとめでも整理しています。

費用を、固定費と変動費に分ける

費用は、件数に関係なく毎月出ていく固定費と、件数に応じて増える変動費に分けます。家賃、通信、保険は固定費、材料、外注、決済手数料は変動費です。迷う費目は、件数が倍になったときに金額も倍に近づくかで判断します。

先の例で、固定費を月30万円、1件あたりの変動費を2万円と置きます。1件の売上から変動費を引くと 5-2=3万円が残り、この金額で固定費を回収します。率にすると 3÷5×100=60.0%です。

固定費30万円の回収に必要な件数は 30÷3=10件、売上高で確かめると 30÷0.6=50万円で、件数から出した 5×10=50万円と一致します。この50万円が損益分岐点売上高です。考え方は損益分岐点の用語解説で確認できます。

利益が出ていても、資金が足りない月がある

代金の入金が翌々月、つまり1か月目の売上が3か月目に入る条件とします。1か月目は10件売っても入金がなく、出ていくのは固定費30万円と変動費 2×10=20万円の合計50万円です。2か月目も同じで、入金がないまま50万円が出ます。

2か月で先に出る現金は 50×2=100万円、内訳は固定費60万円と変動費40万円です。3か月目に1か月目の売上50万円が入り、その月の支払50万円と釣り合います。利益がゼロの計画でも、開業時に100万円を用意していなければ途中で止まります。

件数が月12件まで増えれば利益は 3×12-30=6万円です。先に出た100万円を利益で埋め戻すには 100÷6=約16.7か月、切り上げて17か月かかります。損益分岐点を超える見込みと、手元資金が足りることは別の計算です。

前提と、達成できなかった場合の対応を書く

計画には、置いた前提と、届かなかった場合の対応を並べます。この例の前提は、単価5万円、月の相談件数40件、成約率25.0%、入金が翌々月という4つです。

届かなかった場合は、どの前提が外れたときに何をするかという形で書きます。成約率が20.0%なら件数は 40×0.20=8件、固定費の回収に回る金額は 3×8=24万円で、30万円に6万円届きません。固定費を削るのか、相談件数を増やすのかを先に決めておきます。

面談で聞かれる前提を、先に一覧にする

面談では、計画の数字そのものより、その数字をどう置いたのかを聞かれます。答える材料を、先に一覧にしておきます。

単価の根拠:同種の仕事の実績、または見積の実例
件数の根拠:営業日数と1日の相談件数、成約率の置き方
固定費の内訳:家賃、通信、保険などの月額の積み上げ
変動費の考え方:1件増えるごとに増える費目
入金と支払の条件:代金の回収時期と、仕入の支払時期
開業時の手元資金:自己資金と、先に出る現金の見込み

この一覧は、面談のためだけのものではありません。開業後に実績が出たとき、置いた前提と並べれば、どこがずれたのかをその月のうちに確認できます。

費用の計画には、開業後に自分が学ぶための支出も入れておきます。数字の組み立てを個別に見てもらう選択肢として、和からが行う社会人向けの個別指導があります。支払う金額は受講する回数と期間の取り方で変わるため、開業後の支出として計画に置くときは、無料相談で見積もりを取ってから金額を入れます。扱うのは数値計画の作り方までで、融資の可否や審査の見通しを示すものではありません。

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