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個人事業の価格の決め方|原価と稼働時間から単価を計算する

前掛けをした粘土の人形が、木のまな板の上で深緑の粘土の棒を等間隔に切り分けているクレイアニメ調の写真

個人事業の価格を決めるときは、1年に必要な金額、実際に請求できる時間、1件あたりの作業時間の3つを分けて出します。同業に聞いた金額へ合わせる方法では、自分の稼働時間で足りるかどうかを確認できません。反対に、必要額から出した単価が、そのまま受注できる価格になるとも限りません。

この記事では、必要額と稼働時間から時間単価を計算し、1件あたりの価格へ戻す手順を紹介します。以下の金額・時間の設定は、説明用に作成した架空のものです。税と社会保険の見込みは、税務署または税理士に確認してください。

値付けの前に、1年で必要な金額を出す

単価を決める起点は、1年で出ていく金額です。生活費、事業の経費、税と社会保険の見込みを合算し、年額で一つの数字にします。月額で考えると、年に1回だけ出ていく支出が抜け落ちます。

  • 生活費:300万円
  • 事業の経費:60万円
  • 税と社会保険の見込み:120万円
  • 合計:300+60+120=480万円

説明用の架空の設定として、必要な金額を年480万円と置きました。これは1年間に家計と事業の口座から出ていく金額の合計で、売上がここに届かなければ手元の資金が減ります。

売上に使える時間は、稼働時間の全部ではない

次に、請求の対象になる時間を出します。営業、見積の作成、請求と入金の確認、移動、記録の整理は、仕事ではありますが、その時間に料金を払う相手がいません。

月に160時間働くとすると、年間は 160×12=1,920時間です。このうち請求できる時間を6割と置けば 1,920×0.6=1,152時間、請求できない時間は 1,920-1,152=768時間になります。

6割という数字は、感覚ではなく実績から出します。1か月だけでも作業した時間を請求できる分とできない分に分けて記録すれば、自分の割合が分かります。この割合を確かめずに単価を出すと、実態より低い側へ外れます。割合の扱いは割合の用語解説でも確認できます。

計算:必要額と請求できる時間から、時間単価を出す

必要額480万円を、請求できる1,152時間で割ります。4,800,000÷1,152=約4,167円です。分母の1,152時間は、1年のうち料金を受け取れる時間であって、働く時間の全部ではありません。

比較のために1,920時間で割ると、4,800,000÷1,920=2,500円です。2,500円は4,167円の 2,500÷4,167×100=約60.0%にあたります。請求できる時間の割合が、そのまま単価の差として出ています。

請求できる割合が6割から6割5分へ上がると、時間は 1,920×0.65=1,248時間、必要な単価は 4,800,000÷1,248=約3,846円まで下がります。割合が5.0ポイント上がると、時間単価は約321円下げられる関係です。

1件あたりの価格へ、作業時間を掛けて戻す

時間単価は、そのままでは見積書に書けません。1件にかかる時間を掛けて、件あたりの価格へ戻します。

1件に8時間かかる仕事なら 4,167×8=33,336円で、端数を丸めて約33,300円です。1件に12時間なら 4,167×12=50,004円、約50,000円になります。同じ単価でも、作業時間が違えば提示する金額は変わります。

1年に必要な件数も出しておきます。請求できる1,152時間を8時間で割ると 1,152÷8=144件です。144件なら 33,336×144=4,800,384円で、必要額480万円に届きます。単価と件数を並べておくと、後からどちらが足りないのかを確認できます。

値上げと、受注件数の関係を置いておく

単価を上げると、必要な件数は減ります。1件を36,000円に変えた場合、値上げ幅は 36,000-33,336=2,664円、率では 2,664÷33,336×100=約8.0%です。

必要な件数は 4,800,000÷36,000=約133.3件、切り上げて134件になります。144件から10件減り、時間では 10×8=80時間が空きます。単価を約8.0%上げると、受注が10件減っても必要額に届きます。

この計算で分かるのは、耐えられる件数の減り方までです。36,000円で実際に受注できるか、どの取引先が離れるかは、この式からは出てきません。

価格を決めた根拠を、記録に残す

決めた価格は、根拠と一緒に残します。残す項目は、必要額とその内訳、年間の稼働時間、請求できる時間の割合、その割合を確かめた期間、1件あたりの想定時間、出した単価の6つです。

記録があると、見直しの手がかりになります。実際の作業時間が想定より長かった場合に、単価を上げるのか、引き受ける範囲を狭めるのか、判断する材料が残ります。桁をそろえて見積もる考え方は概算力の用語解説で確認できます。

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