この世界は曖昧さでいっぱい
「売上を上げていきましょう!」
非常に明確な言葉に聞こえますが、そんな一言には、曖昧さがたくさんあります。
・売上を上げる?具体的にいくらでしょうか。
・そもそも何の売上でしょうか。部署単位?会社全体の?
・売上ってなんですか?税込?税抜?
最初の1つ目については、「確かに思った!」という人はいるかもしれませんが、問題はあと2つです。意外と思いつかないはずです。
数学は定義が重要
数学では、定義がすべて、と言われるくらい、定義は重要だと考えられています。定義次第では、1+1=2ではなく、3で考えることも可能なのです。3になるような演算”+”を定義すればよいだけですから、数学は固い学問のように見えて、定義を変えられるという意味では、地球以外の星に住めない人間よりはずっと創造的で豊かな世界であるように思います。(笑)
つまり、数学的に物事をとらえていくとは、定義を明確にすることです。
相手とのコミュニケーションも同じです。定義が明確にならないと伝わらないこともあります。2時間話して、定義が違っただけで、同じことを言っていたということも頻繁にあります。私も何度もの経験があります(笑)
全然、言っていることの道筋が違うなぁと思っていたら、最終的に同じ目的地にたどり着いたという・・・。富士山を登るにも山梨川なのか、静岡側なのか、様々なルートがあると同じように、同じ頂上を目指すにも、ルートが異なれば見えている景色も異なるのです。
「よい会社」の定義とは
誰もが、自分のいる会社をよい会社にしたいと願っています。
でも、良い会社にするためにはどうしたらよいのでしょうか。
と、実は、この問いはよくないです。
なぜなら、どうするかではなく、まず、よい会社が何かを決めなければいけないからです。富士山に登ろうとしている人と高尾山に登ろうとしている人では、同じ山に登るにも、持っていく道具も違えば、考えている登山時間や覚悟もまったく違うでしょう。
ということで、最初にやるべきは、「よい会社」とは何かを考えること。
100個、200個要素をピックアップはできるでしょう。しかし、誰一人として同じ定義はないと思います。近い定義はあると思いますが。
例えば、「皆が楽しく働ける会社。」なんていう案が出れば、楽しく、とはどういう意味かを定義しなくてはいけません。楽しく=遊びの人もいると思いますし、実際に仕事に楽しさを感じていない人も会社に多くいるでしょう。仕事そのものに楽しさを感じられない人もおそらくいると思います。そうなってくれば、いきなり、その思考は座礁します。
でも、今考えているのはあくまで理想論であって・・・、という形で反対意見が出たりして、定義を話し合うだけでもものすごく大変。
だから、ブレーンストーミング(ブレスト)など否定せずに皆の考えをたくさん出し合う手法があったり、ファシリテーターというまとめ役、皆の引き立て役がいる必要があったりするわけです。
実際に私も何度も経験しています。2時間話して、結局は同じことを言っていた。ということを。
定義を明確にするだけで、どこに向かっているかがわかるのです。相手にとっての、皆にとっての「よい方向がわかる。」でも、その定義を明確にするプロセスも結構大変なんですが(笑)
話し合いのための最初の一歩、定義の重要性について書いてみました。
<文/堀口智之>