今回は、藤井聡太棋聖のすごさを数字で考察していきたいと思います。
2020年7月16日、史上最年少17歳で「棋聖」というタイトルを獲得した藤井聡太棋聖。
14歳、中学2年生でデビューしてから、あっという間に将棋界に大きな衝撃をもたらしました。元々は、プロも参加するという「詰将棋解答選手権」で小学6年生のときに日本一。ちなみに現在5連覇中。将棋の難しい局面でも、詰めの場面でも、圧倒的強さを誇っています。
今は18歳という年齢ですが、一体藤井棋聖はどこまで強くなるのでしょうか。
将棋は何歳のときに一番強いのか
一説によると、25歳くらいのときに一番強くなるのでは?と言われています。
最も格式あるタイトル戦である「名人戦」では、それぞれ現在も活躍する棋士では、以下の年齢のときに初タイトルを獲得しています。
・谷川浩司 21歳
引用:データで見る将棋(毎日新聞)
・羽生善治 24歳
・佐藤天彦 28歳
・豊島将之 29歳
勝率のグラフを眺めてみる
将棋界で最も有名なのは、やはり羽生9段。誰もが憧れるスターのような存在です。2018年には「永世七冠」を獲得し、誰もが認める圧倒的な強さを持っています。この羽生9段の勝率のグラフと、藤井棋聖の勝率のグラフを比べてみました。
縦軸の最下部は50%。つまり、勝つ確率は50%ということなので、羽生9段は常に勝率は50%を超えていることがわかります。その羽生善治九段よりも高い割合の勝率を持っているのが藤井棋聖であることがわかります。
横軸は年齢です。同じく中学2年生、14歳のときにプロデビューしています。
最も強いときの羽生9段の平均勝率は
羽生9段の勝率が最も高かったデビューからの約10年を考察してみると、平均76%であることがわかります。対して、藤井棋聖の勝率は84%。約8%の差となっていますが、これはわずかな差ではありません。圧倒的な差です。
84%と76%は全く違う理由
藤井棋聖の勝率84%は、5勝に対して1敗です。
羽生9段の勝率76%は、3勝に対しての1敗です。
どちらも恐ろしいほど高い勝率ではありますが、同じ一敗に対して許せるのが、3勝と5勝では、やはり大きく違います。
30連勝になる確率を計算してみた
過去の偉大な将棋棋士を見ていても、藤井棋聖はまだまだ強くなると思います。もちろん、今後はA級の強い棋士と多く勝負することになりそうな勢いですので、このまま勝率を維持できるかわかりませんが、過去の羽生9段と比べてみても、勝率はしばらく84%前後をキープする可能性はあります。仮に84%を保ったとしたら、実はまだ30連勝できる可能性があるということに気づかされることが数学を使って計算するとわかります。
確率を計算してみました。
藤井棋聖が2連勝する確率は、84%×84%、
つまり、30連勝する確率は、84%の30乗です。
その確率、なんと約0.5パーセント。意外に高いのです。200回くらい挑戦すれば平均1回は30連勝できる計算です。
将棋の棋士としてピークの強さである25歳までにあと6、7年ほどあることを考えれば、連勝記録にチャレンジできるチャンスは約60回ほどあると考えられます。(通常、年間60回ほど戦う機会があるのですが、藤井棋聖は連勝することが確率的に高く、数学的な確率を計算してみると、10回ほどしかチャレンジ回数はありません。)
30連勝しない確率は、約99.5%であり、60回であるチャンスを掛ければ、
約99.5%の60乗=72.4%
これが連勝しない確率となりますから、72.4%の確率で連勝しないことがわかります。つまり、30連勝する確率はその補数となりますから、
約27%!!!
なんと、奇跡のような確率でもありません。藤井棋聖ならやれなくはない確率のようにも感じます。
もちろん、これからタイトル戦やタイトル防衛戦など、様々な戦いを繰り広げることが想定される中で、大胆な机上の計算に過ぎないかもしれませんが、藤井棋聖は最多連勝記録や、史上初の3年連続勝率8割などを記録してきた伝説を残してきたことを考えれば、ありえると考えたいところです。
これからの藤井聡太棋聖の活躍にさらなる期待を込めて、一ファンとしても、温かい目でこれからの将棋界を見つめていきたいと思います。
以上、藤井棋聖が30連勝できる確率を数字的な分析をしながら計算してみました。
youtubeで動画も公開しておりますのでぜひご覧ください。
再生数も伸びているようです。
<文/堀口智之>