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KPI設定がうまくいかない原因|指標の選び方と分解の手順

目盛りの刻まれた大小の円盤が軸と腕で連結された計測器を、細い線を重ねて描いた銅版画エッチング調の図版

KPIが形だけ残っているときは、その指標で何を判断するのか、結果と先行のどちらを見ているのか、率に分母が添えられているかを分けて見直します。指標の数が多いことが原因とは限らず、1つに絞っても判断に使えない指標なら同じことが起きます。報告される数値が動いていないことも、現場が動いていないことの証明にはなりません。

この記事では、指標そのものの設計を見直す手順を紹介します。以下の件数・率の設定は、説明用に作成した架空のものです。

形骸化したKPIに共通する3つの状態

使われなくなったKPIには、共通する状態があります。1つ目は、数値は毎月集まるのに、その数値で何を決めるのかが書かれていないこと。2つ目は、達成しても未達でも次の行動が変わらないこと。3つ目は、現場が動かせない要因で数値が決まってしまうことです。

3つとも、指標の選び方の側にある問題です。集計の手間を減らしても、報告の頻度を上げても解消しません。まず、どの状態に当たるかを指標ごとに1行で書き出します。

書き出すときは、指標の名前だけでなく、直近3か月の数値と、その数値を見て実際に変えた行動を並べます。行動の欄が3か月とも空いている指標は、1つ目か2つ目の状態に当たります。

指標を選ぶ前に、判断したいことを一文で書く

指標より先に、判断したいことを一文で書きます。「来月の増員が必要かを決める」「この商品の取り扱いを続けるかを決める」のように、決める内容と時期を入れます。

一文が書けない場合、それはまだKPIの候補ではありません。判断の内容が決まっていない指標は、集めても使い道が決まりません。判断の言葉が決まると、必要な指標の数は自然に絞られます。用語の範囲はKPIの用語解説で確認できます。

結果指標と、先行指標を分ける

結果指標は、期間が終わってから確定する数値です。先行指標は、その結果に先立って動く数値です。結果指標だけを並べると、期末になるまで手が打てません。先行指標だけを並べると、動いているのに結果に届かない状態が続きます。

両方を並べ、どちらがどちらに効くと考えているかを書き添えます。その考えが外れていた場合も、記録があれば次の見直しで指標を差し替える根拠になります。

先行指標は、現場が週の単位で数えられるものにします。月末にしか分からない数値を先行指標に置くと、結果指標と同じ時期にしか動きが見えません。数え方と数える人を決めるところまでが、指標の設計です。

分解の手順:結果指標を掛け算の形に割る

結果指標は、掛け算と足し算の形に割ると、先行指標が見えます。期末の契約数を例にします。期初の契約数200件、継続率90%、期中の新規獲得30件なら、200×0.9=180件が残り、180+30=210件が期末の契約数です。

継続率が85%に下がると 200×0.85=170件、170+30=200件で、新規獲得が同じ30件でも期末は期初と変わりません。新規獲得数だけをKPIに置くと、継続率の低下が数字に出てきません。割った要素のうち、どれを現場が動かせるかを確かめてから、KPIにする範囲を決めます。

率だけのKPIに、分母と件数を添える

率だけをKPIにすると、分母の変化が見えなくなります。成約率が20%から25%へ上がった月を例にします。商談数が200件から150件へ減っていた場合、成約は 200×0.20=40件 から 150×0.25=37.5件です。率は上がり、件数は減っています。

20%から25%への変化は5パーセントポイントの上昇です。率そのものの増加率は 5÷20×100=25%になります。件数は整数なので、商談150件で成約37件なら 37÷150×100=約24.7%、38件なら 38÷150×100=約25.3%になります。率と分母の関係は割合の用語解説に整理されています。

報告では、分母の商談数と、分子の成約件数を率と同じ行に並べます。なお、この計算から成約率が上がった理由までは分かりません。商談の選び方を変えたのか、案件の中身が変わったのかは、別に確認します。

見直しの周期と、変更の記録

KPIは、決めた時点の前提の上に乗っています。前提が変われば指標も変わるため、見直す周期を先に決めます。四半期ごとに定義を確認し、年に一度、指標そのものを入れ替えるかを判断する、といった形です。

変更するときは、いつ、何を、なぜ変えたかを残します。記録がないと、過去の数値と現在の数値を並べたときに、変化なのか定義の差なのかを区別できません。定義を変えた月は、変更前の定義でも計算して両方を残します。

周期を決めても、期の途中で事業の前提が変わることはあります。その場合は次の周期を待たず、判断したいことの一文から書き直します。指標だけを先に差し替えると、何を決めるための数値かが抜けたまま残ります。

指標の分解と点検を部署をまたいだ共通の手順にしたい場合は、和からのデータドリブン研修が扱う範囲を確かめてください。研修が受け持つのは分解と点検の進め方までで、自社のKPIをどれに置くかは、事業の計画と合わせて社内で決めます。

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