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値上げの根拠を数字で示す方法|原価の変動を価格に反映する

漆喰の壁に掛かった槌目の真鍮板に、太さの違う二本の横棒が浮き彫りにされ、斜めの光が陰影を作っている接写

値上げを説明するときは、原価がいくら動いたか、価格にいくら乗せるか、粗利がどう変わるかを分けて示します。原価の上昇分をそのまま価格に足しても、値上げ前の状態には戻りません。上げた分だけ数量が減るとも限らず、値上げ幅だけで取引先の反応を見通すこともできません。

この記事では、原価の変動を価格に反映するときの計算の組み立て方を紹介します。以下の金額・数量の設定は、説明用に作成した架空のものです。取引条件は、契約と関係法令の範囲で確認してください。

値上げの説明は、原価・数量・利益を分けて示す

値上げの資料が通らないのは、金額の大小よりも、どこが動いたのかが見えないときです。原価が上がったという話、価格をいくらにするという話、その結果いくら残るという話は、別々の行に書き出します。

順序は、原価の変動、価格の変更幅、変更後の粗利です。原価の変動は実績から出る数字、価格の変更幅は自分で決める数字、粗利はその結果です。数量は4つ目の行に置き、相手の判断で動く前提として扱います。

原価の変動を、品目ごとに書き出す

原価が上がったといっても、内訳は一つではありません。材料、外注、運賃、包装のように費目を分け、前後の金額を並べます。

説明用の架空の例で考えます。販売価格1,000円の商品の原価が1個600円で、内訳は材料340円、外注160円、運賃60円、包装40円だったとします。ここから次のように動きました。

  • 材料:340円→380円
  • 外注:160円→170円
  • 運賃:60円→70円
  • 包装:40円(変わらず)

合計は 380+170+70+40=660円です。600円からの上昇額は60円、率では 60÷600×100=10.0%になります。分母の600円は、値上げ前の1個あたりの原価です。品目別に書けば、どの費目が戻る見込みかを相手と分けて話せます。

上昇分をそのまま乗せても、利益率は戻らない

上昇した60円を価格に足すと、1,000+60=1,060円です。原価660円を引くと粗利は 1,060-660=400円で、値上げ前の 1,000-600=400円と同じ金額です。粗利の金額は維持できます。

粗利率のほうは変わります。値上げ前は 400÷1,000×100=40.0%、値上げ後は 400÷1,060×100=約37.7%です。金額が同じでも、割合は約2.3ポイント下がります。ここは「2.3%下がった」ではなく「2.3ポイント下がった」と書きます。40.0%の2.3%は0.92%で、別の数字になるためです。

金額を守るのか率を守るのかを、先に決める必要があります。割合の読み方は割合の用語解説で確認できます。

粗利率を維持する場合の価格の出し方

粗利率40.0%を保つ価格は、原価から逆算します。粗利率が40.0%なら、原価は価格の60.0%を占めます。したがって価格は 660÷0.6=1,100円です。

検算します。1,100-660=440円が粗利で、440÷1,100×100=40.0%です。値上げ幅は 100÷1,000×100=10.0%、金額を維持する場合は 60÷1,000×100=6.0%で、4.0ポイントの差があります。

同じ「原価が10.0%上がった」という事実から、二つの値上げ幅が出ます。どちらを選ぶかは計算ではなく方針です。率と実数の行き来は割合の計算のまとめも参照できます。

値上げ後の数量の変化を、前提として置く

価格を上げれば、数量が変わることがあります。数量は見込みであって実績ではないため、前提として別の行に置き、いくつかの水準で計算します。

先の例で、値上げ前は月に1,000個売れていたとします。粗利の合計は 400×1,000=400,000円です。価格を1,100円にすると1個あたりの粗利は440円になり、900個へ減れば 440×900=396,000円で、400,000円を下回ります。

値上げ前と並ぶ数量は 400,000÷440=約909.1個、切り上げて910個です。1,000個からの減少は90個、率では 90÷1,000×100=9.0%になります。数量が9.0%より大きく減ると、粗利の合計は値上げ前を下回ります。実際に何個減るかは、この計算では分かりません。

相手に渡す資料に残す項目

相手に渡す資料には、原価の内訳と変動額、変動を確認した期間、価格の変更幅、変更後の粗利の金額と率、想定した数量を並べます。次の形にまとめておくと、社内の承認と取引先への説明で同じ資料を使えます。

原価の変動:600円から660円へ(+60円、10.0%)
確認期間:(年月)から(年月)
価格の変更:1,000円から1,100円へ(+100円、10.0%)
変更後の粗利:440円(粗利率40.0%)
前提の数量:月1,000個(910個を下回ると値上げ前の粗利合計を割り込む)

原価の内訳から値上げ幅を組み立てる手順を確かめたい場合は、和からの数字の個別指導があります。何回受けて何か月で終えるかによって費用が変わるため、必要な回数のめやすは無料相談で確認できます。扱えるのは原価と価格の計算の組み立てまでで、取引先との交渉そのものや、契約・関係法令に沿うかの判断は含みません。

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