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音楽業界は、もうダメか?市場規模を数字で考える

2020年12月、エイベックスが自社の本社ビルを売却するとのニュースがありました。(引用:エイベックス、自社株買い30億円 本社ビル売却受け-日本経済新聞

エイベックスと言えば、音楽業界で最も有名な会社の一つです。(参考:エイベックス

どうやら、自社ビルを売却後、そこから退去するわけではないようで、その売却先の会社から借りるようです。これだけ聞くと何も変わっていない聞こえますが、売却による手元資金は確保できますね。しかし、近い未来にお金が足りなくなってしまうことを予見できてしまいます。

もちろん、会計上のメリットもあります。固定資産が無くなることで、BS(バランスシート)の総資産が小さくなることによるROA(総資産利益率)の改善などにもつながったり、借入金を返済することで自己資本比率が改善する(総資本に対する自己資本が高まる)こともメリットの一つです。

ただ、別にROA自体はそもそも利益を高めれば自然と高まりますし、財務レバレッジを高める(自己資本に対して負債が多くする)という選択肢もありながら、このような選択肢を取ることは、これからの経営の厳しさを感じざるを得ません。

実際にエイベックスの決算書を見てみると、決して順調なように見えないところがどうしても心配になってしまいます。

引用:avex-業績ハイライト

既に3Q(第3四半期)の段階で、売上高が前年度の半分程度になってしまっています・・・。営業利益も大きく赤字に転落です。営業利益が赤字ということは、本業で利益が出ていないどころか継続すること自体が既に難しいという意味ですね。

怖いのは、その前年2020年3月期の段階で、既に売上高が15%程度下がってしまっていることです。緊急事態宣言(2020年4月6日~)直前のライブの中止・イベントの中止などが影響していると考えられます。

 

世界の音楽業界のこれから

ここだけ見てみれば音楽業界やばい!となりますよね。実際に、今の音楽業界は非常に厳しいと感じている方は多いのではないでしょうか。youtubeでは無断で人気アーティストの楽曲がアップロードされるなど、著作権を無視しているものも散見されます。なかなか厳しいように思えますのですが、実は世界的に音楽の市場規模は伸びています。

引用:Global Music Report(IFPI)

2014年までは減少の一途でしたが、ストリーミング配信、ダウンロード、デジタル配信、演奏権、シンクロ権などが伸びていて、全体的に大きく上昇しています。

CDの売上など、物理的なモノに関する売り上げは大きく下がっていますが、ストリーミング配信などは大きく伸びており、CDの売上を大きく超える結果となっています。

日本では独自の市場があるようで、いまだにCDの売上が相対的にそこまでのレベルで落ちていないようです。

生産実績 過去10年間 オーディオレコード全体(引用:一般社団法人 日本レコード協会

世界ではここ10年でCDが半減しているのですが、国内では、30%程度の減に留まっています。減少の割合が遅いからこそ、急激には変われない、ところもあるかもしれませんね。

他、国内ではストリーミングア配信やビデオを含めてもなかなか厳しい現状で、長期で見れば、25%程度落ちています。

引用:国内音楽市場は3048億円 3年ぶりに増加 音楽ビデオ・ストリーミングが牽引

対してライブ・音楽イベント事業は大きく伸びています。なんと5年前と比べて1.5倍です。

確かに伸びている印象はあったかもしれませんが、ここまでとは!!と驚きますよね。

引用:2019年ライブ・エンタテインメント市場規模<確定値>

しかし、ここにきてのコロナ。

音楽イベント・音楽フェスなどはほぼ壊滅的な状況で、それがエイベックスの経営に大きな打撃を与えているようです。

 

日本の音楽業界のこれから

本当にコロナ禍が原因となり、音楽業界が打撃を受けているのならいいのですが、コロナ禍の前から売上が下がり、ライブ・イベント以外の市場規模が下がってきていることを考えると、決してコロナが終わっても安心できるレベルではないとは思います。

しかし、イベント・音楽ライブ事業は大きく伸びているので、コロナが終わったときの反動、ちょっと前の中国のように「リアル」への反動が起き、またコロナ前の水準、それ以上へ上昇していくかもしれません。

いずれにせよ、大きな変革が起きるこれからの音楽業界に注目です。

<文/堀口智之>