親だから、算数は苦手でよいのではない
親だから、算数から逃れて、勉強しなくてよい、わけではありません。
2013年の国立成人生涯教育研究所(NIACE)の研究・調査(※)によると、親が算数や数学的な能力(数的思考)が低ければ低いほど、子どもの算数の能力が低くなり、逆に、親の算数の能力が高いほど子供の算数の能力が高くなるという相関関係があることが明らかになっています。
「算数や数学が苦手だった」という親ほど、子どもの教育、未来のためにちゃんと学ばなくてはいけないのです。
もちろん、親だからといってすべての算数の問題や数学の問題は解けなくてもよいと思います。まずは、日常から数字に対して、楽しく触れ合いながら、生活していくことが大切です。子供に背中を見せるという意味で、数字を活用している場面を見せるだけでもぐっと子供の苦手意識は変わってきます。
ということで、今回は日常ですぐに活用できそうな事例を30個ほどピックアップしてみました。一緒に実践してみたり、挑戦する、もしくはやってみせることで、
「数字や算数って楽しいし、活用できるものなんだ!」
と気づくことと思います。ぜひ実践してみてください!
日常で活用できる事例30個
料理する、食事のとき
- 食事を一緒に作りながら分量について計算する
- 家族の食事を分配するとき(ピザやみかんなど)に、一人あたりの分配の方法を考えさせる
- 小さじ何杯、大さじ何杯分か、計算する
日常を過ごすとき
- どうやったら節約できるかを考える
- お小遣いの管理方法について考える
- 電卓の計算結果を検算してもらう
- お金を銀行に預けるか、財布で持っておくかを考える
- 温度計を常においておきながら、気温を確かめる
- DIYなど、必要な材料の計算や設計と組み立てをする
- 郵送するとき、どんな大きさの段ボールなら、最小の値段で郵送できるか調べて、計算する
スーパーやコンビニにて
- 店員さんが金額を言う前にだいたいどのくらいの金額になりそうか暗算する
- お釣りの金額を最小にするやり方を実践する
- スーパーで小分けにされているものを買うか大きな袋を買うかそのお得度を考える
- スーパーでの2割引き、3割引き、半額割引シールでいくらかになるかを暗算する
- ポイントカードが月間・年間どのくらいお得になるのかを計算する
出かけるとき
- 距離から、車や自転車で移動する時間を計算する
- 近くの公園までの歩数と距離の関係を調べる
- 自分の歩幅が何センチあるか調べる(親と子供の幅の長さの違い)
- 旅行の計画を時間ごとに区切って立てる
- 地図を見ながら、どのくらいの面積のどのくらいの家があるのかをフェルミ推定で計算する
- レストランなどで食事をしたときに金額を計算する
- 複数日の旅行なら、1時間あたりの金額を計算し、その時間の価値を計算してみる
- 自分の住んでいる町や市の面積と人口の関係から、人口密度を計算して体感する
- 昼間の人口と夜間人口が大幅に違うところを訪れて人口の違いを体感する
- 最寄り駅の利用人口から1分あたりの利用人口を割り出して、実際にその通りになっているかを測ってみる
テレビを見るとき
- スポーツのニュース番組を見て、次の試合の点数を予想する
- 勝ち抜き戦か総当たり戦か、1つ当たりのチームが何回戦うか予想する
- 海外のニュースを見て、為替レートの換算をする
- マクドナルドや身近な店舗の売上が上がった!下がった!に応じてそのインパクトを計算してみる
- どのくらいの確率でコロナウイルスやインフルエンザなどに感染するのかを計算してみる
ゲームをするとき
- どこでレベル上げすると最適かをデータをとって統計学を用いて分析する
- どんなポケモン(ポケモンじゃなくてもOK)が強いか、なぜ強いかを言語化する
- レアポケモンの出現率を計算し、何回に1回出現するかを考える
まだまだ、たくさんの事例があると思いますが、一部のみご紹介させていただきました。算数の苦手な子供のために親ができるのはこういった計算を日常に取り入れていくことです。生活の中にあふれる数や量とふれあいながら過ごすことで、子供の算数の成績や苦手意識もぐっとかわってきますので、できることからぜひ実践くださいね。
参考リンク
<文/堀口智之>