1995年に発表された研究結果をご紹介します。
アメリカの子供たちと中国の子供たちに数を声に出しながら順に数えるように指示したところ、アメリカの子供たちは中国の子供たちに対して1年もの遅れがありました。
4歳の中国の子供が平均して40まで数えることができましたが、アメリカの子供たちは15まで数えるのが精いっぱいだった・・・ということです。
なぜでしょうか。中国人の方が優れている?いやいや、違います。
実は、「言語」がその原因だったという研究結果があります。
英語で「算数」を習得するのが難しい理由
英語で数をぜひ数えてみてください。10を超えてからも、11をten-oneと発音するのではありませんね。11と12が独特な名前、それぞれelevenとtwelveという呼び名がついており、13以降も数を読み上げるシステムが変わります。つまり、読み上げるための体系的な仕組みがないのです。だから、読み上げるのが難しくなってきます。対して中国語や日本語も、10以降も数を読むのはわかりやすく読めますね。11以降は、「10+x」という発音で読みこなすことができます。
さらに、読み上げるためのスピードもそこに影響していると言われています。英語はわずかではありますが、中国語よりも読むスピードが劣ります。中国語の数字の読み上げはほぼ1つの音を伸ばすだけで呼びあげることができます。
この2つの特徴によって、子どもが数を覚えるスピードが変わるというのです。これは、英語だけではなく、ウェールズ語、アラビア語、英語など異なる言語できちんと再現されています。
その数字の呼び名がそのまま数字の記憶量に対しても結びつきます。噂によると、香港の人の数字の記憶量は、およそ10個程度も覚えられるとか・・・。
英語のこういった数の仕組みは、記憶しにくかったり、計算の速度を遅くしたり、理解そのものを難しくしたりすると言われています。
逆に言えば、素早い呼び名、そして体系的に数を数えやすくする仕組みは思考を加速させるということを意味しています。
日本語も英語よりはずっと数を読みやすい仕組みではありますので、英語教育が凄そうに見えてしまいますが、数字の呼び名に関してはやはり日本語で学ぶ方がよいと思います。
<文/堀口智之>