大人の学びのコツを知っていますか?
大人の学びが注目されています。全員長生きになり、よりよく生き続けることが求められるようになりました。この変化の激しい時代の中で、学び続けること、成長し続けることが我々のテーマになりつつあります。
しかし、大人の学びは子どもと違うということを知っているでしょうか。
大人の学びは、新しいことを学んではいけない
実は、大人は新しいことを学んではダメなのです。これは意外と多くの人が知らない事実です。
全く新しいことを学んでも、それを使うきっかけがありません。大人はある程度自由に自分のやりたいことを選ぶ選択肢があるので、既にできないことや向いていないことは自分の中に習慣がないのです。
だから、全く新しいことを学んでも、ほぼ自分の習慣に入れるのは難しく、宝の持ち腐れになってしまうのです。せっかく得た新たな知識は、忘却の優先順位のトップにきます。朝学んだ知識は夜には半分は忘れてしまっている可能性すらあります。
子どもと大人の学びの違い
子どものときの学びと違うのは、大人はそれほど反復を好んでやりません。常に忙しいからです。何かに追われている、だから、反復するのは、ちょっと面倒と思ってしまうことがあります。
しかし、新たな領域の学習には、やはり反復が重要です。なぜ子供のときにあれだけ反復練習をやったのかと言えば、習得するに最も効果がある方法だからです。あの時期が自分の中の基盤になっている人は多いでしょう。漢字を無意識に書けるのは、反復練習をし続けたからです。
大人の最適な学習領域とは
大人の学びで最もよいのは、既に知っていることを学ぶのです。正確には、既に知っていることをどれだけ使いこなすかを考えてください。既に大人は武器を持っています。新たな武器を探すのではなく、その武器の使いこなすことを、新たな使い方だけ学ぶのです。
10年料理人として働ている人が、初めてインドに修行に行って全く新しいカレーのやり方を学ぶのは非効率です。付け焼刃で学んだカレーが美味しいわけがなく、10年で培ってきたノウハウをいかに生かすかを考えたほうがよいに決まってます。例えば、隠し味の使い方や、スパイスのバランスなんかを学ぶことができれば、これまでの経験との掛け合わせでより効果が倍増していくでしょう。
だから、常に、自分自身の能力のプラスアルファを身に着けていくのです。それは今の自分の一歩先、延長上にあることだと思います。その武器をより研ぎ澄ますことを考えます。自分の今持っている武器であれば、ごく自然に”使う”という発想になります。この”使う”というのが重要です。
もしくは、「今すぐに必要とされていること」は、学びの優先順位としては高くなります。なぜなら、すぐに必要とされていれば、自分の習慣になるからです。
ちょっと先を学び続けたその先に、1年後には全く違う知識を身に着けていることになるでしょう。新たな知識は延長上の中に身に着けたほうが効率よく学ぶことができます。
大人の学びは、常に、”使う”かどうかが問われています。使えば使うほど、忘れません。使えば使うほど、使い方がよりわかってきます。知識が知恵に変わる瞬間です。大人向けの学びを推進し続けている教室を10年運営して気づいたことです。リカレント教育が最近注目されていますが、この”使う”という視点は忘れてはいけない視点です。
<文/堀口智之>