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成功する経営者しか答えられないたった一つの質問とは【ベンチャーキャピタル×数字】

先日6月1日に、「ベンチャーキャピタル×数字」というテーマで新潟ベンチャーキャピタルの取締役、かつ、自身でも2社ほど会社を経営している星野善宣さんとお呼びして対談させていただきました。

80名以上の方にお申込みいただき、大変盛り上がり、私も非常に勉強になりました。

公開はできませんが、会話の一部を私なりに解釈したものを(あくまで私が解釈したものですのでニュアンスが違う部分も多々あるかとは思いますがご了承ください。)ここに記載しておきたいと思います。

 

まず、ベンチャーキャピタルって何でしょうか?

まず、投資家さんからいただいたお金でファンドをつくります。そのお金を使ってベンチャーにお金を出資して、大きく会社が成長、上場したタイミングなどで株を売却して運用するという投資会社です。ファンドは10年満期とある程度期間が決まっているというのもあり、(比較的リスクの高い)急成長であろう会社に投資しています。特に出来立てのベンチャーは、銀行から大金を借りることは難しいのです。信用がないので。だから資本の提供という形でこういったベンチャーキャピタルが支援しているんですね。

 

投資したお金がすべて戻ってこない気がするのですが。

基本的には上場、一般に公開されていない株を相対取引という形で購入します。もちろん、すべての会社がうまくいくわけではないですね。もし上場等出来なかった場合、その会社の価値が上がった時に他の会社さんに買い取っていただくということももちろん想定しています。もし、売上が全く伸びない、成長しない会社があれば、出資したときの値段よりも安い株価で(経営陣に)買取をいただくっていう形もありますね。

 

でも、うまくいけば非常に儲かりますね。

うまくいけば、数十倍になるかもしれないし、紙屑になってしまうこともあるでしょう。だから、出資する時に「ポートフォリオ」を組むんです。

本当のゼロイチでスタートする事業はリスクが大きく、儲かれば大きく儲けられますが、こけ方も大きいですよね。いわゆる「シード」って言われているまだ創業間もないところにはファンドのお金をすべて入れるわけではありません。3割とか4割とかくらいですかね。

あと、既に売上がもっと伸びそうだなっていうのがもう見えている会社だと比較的シードよりは安全に出資することができます。リスクは相対的には小さくなります。そして、出資割合を3割くらいにしておくんです。

そして残りは、それこそ本当に上場が見えてるみたいな会社に出資することで、安全性を担保できますね。上場が見えている会社はリターンこそ小さいものの、比較的安全な投資となります。

すべての会社がうまくいく必要はなく、どこかの会社がこけても他がうまくいけばいので、そのバランスの問題ですね。

もちろん、この出資の比率はファンドの目的にもよってきますね。どういったところを応援したいのか。自分たち(そのベンチャーキャピタル)が得意な領域、分野に対しての確度を当然上げていくことが大事なので、仲間&運営するメンバーの得意分野がどこかにもよってくると思います。

リスクを大きくとって、逆に完全に全部シードにつっこんだりするところもあるでしょう。ただ、そうなると負けた時には大きく負けますよね。でも、うまくいけば大きなリターンが得られるとも思います。例えば、上場まで持っていけるのが出資した会社の数パーセントでも、うまくいくように計算をしながら投資をして運用しているのです。

 

どんな経営者ならその会社はうまくいくか?

どの会社がうまくいくか?もちろん、経営者の性格、考え方が会社の成長に及ぼす影響も結構高いと思います。特に創業期の段階では。

その経営者の能力を見抜く質問として、例えばその会社の「強み」とかで根底的に押してる要素あるじゃないですか。その要素を完全に覆した質問した時にどうするか・・・、というのは聞きますね。

例えば、「ITに強いメンバーが集まっていて・・・」「この技術力があるから・・」とか評価されていた部分が技術力ベースだったとき、「その人が抜けちゃったらどうすんですか?」と聞いたり、「他の違う技術が入ってきた時にどうするんですか?」とか聞きます。これにうまく答えられるかどうかが、よい会社かどうかを見極めるポイントかと思います。

自分たちの信じていた強みが、もし市場ニーズから外れていた場合はどうするんだと。もう1回ゼロから、何のためにこの会社をやっているのか。などと話し始めて、何としてもこのビジネスを自分たちが成功させるんだ!という想いの部分、事業に対して、社会の課題解決に対してやり遂げる、やり抜くっていう姿勢をきちんと説明していただいていますね。

そこで、「事業を辞めます。」とか、「ピボット(方向転換)します。」という話になったら、「事業に対してはこの人は本気じゃないんだな・・・。」って思ったりします。


ということで、話の一部を紹介してみました。

投資家からいただいたお金を運用するというのが目的の一つでもあるので、投資対効果を当然計算しているという生の声を聴けただけでも勉強になりましたし、「強みがなくなったらどうするか?」の質問はキャリアに対しても、自分の生き方に対しても「重要だ!」と盛り上がりました。

ぜひ何か参考にしていただけたら幸いです。

<文/堀口智之>