お問い合わせ

これからの講師は「教える」のではなく「教わる」になる

さて、今、学校教育の中でもICTを取り入れながら学習の個別最適化が求められています。この個別最適化とは、大衆のための教育ではなく、よりよく生きる個人のための教育にシフトしていくということです。それを考えていく中で、重要な視点を提示したいと思います。

先日、教える学習法の有効性については記事でまとめました。(参考:アウトプット数学学習法

さらに一歩、これからの時代、講師や先生に求められる教育の在り方について書いていきます。

それは、講師は「教える」のが仕事ではなくなってくるということです。「教わる」のが仕事になります。役割が逆になります。その目的はシンプル。「次の一歩だけ」を提示することだけが重要だからです。

つまりどういうことか。

 

「教わる」のが講師の役割になる時代

講師は、元々「生徒に対して教える」役割として存在してきましたが、これからは逆になるかもしれない。と考えています。つまり、これからの時代、教える講師ではなく、生徒から教わる講師が求められるということです。

私も今でも数学の個別指導を行っていますが、一部授業では、ほとんど聞き役です。実はあまり喋りません。なぜなら、お客様がしゃべっていること、今考えていることを聞かせて頂き、それを拡大するような質問、それをまとめるような話、横展開するような聞き方で、お客様にしゃべっていただく授業を行っています。

なぜでしょうか。楽をしたいから? 違います。元々「指導」というのは、一種の押し付けで、世界で今当たり前に真理として扱われているものをお客様に教えるという行為です。もちろん、教えることは当然重要です。

しかし、それらの真理は、あくまで本にも書いてあることですし、WEBでも検索したらいくらでも出てきます。真偽はともかくも、情報自体はたくさん得れるのが今のIT社会です。

だからこそ、今のお客さまにとって必要な情報のみを与える。それが講師の本来の役割ではないかと思うのです。重要なのは、今お客様が欲している「次の一歩」の情報です。たくさんの情報ではありません。たくさんの情報だけ与えても、結局何をしたらよいかがわからなくなってしまうこともあるでしょう。だから、情報はたった一つでよいのです。たった一つだけで人生が変わってしまうくらいのインパクトになってしまうこともあります。

だから、次の一歩だけを提示するのです。しかし、講師側から見たとき、お客様の次の一歩が何かわからない場合もある。だから、お客様にしゃべってもらうのです。どんどん喋って頂き、私がそれに対してまとめたり、考察をする。さらに一歩奥深く意見を言ってみる。気づいたことを共有する。

そんな講師の役割がこれから求められると思うのです。

つまり、数学を教えるとか、教科を教えるのが仕事ではなくなるかもしれません。個に焦点を当て、長き人生がよりよいものになるようにサポートし続けること。

これからの時代、「教える講師」ではなく、お客様の今を「教わる」講師です。その目的は、お客様の次の一歩を提示するためなのです。その先に、お客様が本当に得たかったもの。なりたかった未来にする、なるために必要だと感じています

<文/堀口智之>